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学んだことは、数知れない〜橋梁模型製作コンテスト奮戦ノート〜

斬新な構造やデザイン性を競う「橋梁模型製作コンテスト」。阪神高速道路は、橋梁技術のアピールと若手の人材育成を目的に毎年出場を果たしている。今年は神戸建設所、堺建設部、本社・大阪建設部・大阪管理局から各1チーム、計3チームが出場。神戸チーム(チーム名:阪神高速 TEAM 湾岸西伸)が「審査委員特別賞」を受賞するなど大健闘した。若手社員を主体に構成された3チームから話を聞きながら、コンテストを振り返ってみよう。

「橋梁模型製作コンテスト」は「建設技術展」主要イベントとして、毎年開催されている

橋梁模型製作コンテストとは

「建設技術展」(主催日刊建設工業新聞社)の主要イベントとして、毎年開催されるコンテスト。企業や学生などが参加し、ミニチュアの橋梁模型を「建設技術展」の会場で製作する「会場製作部門」と、高校生や大学生が事前に製作した橋梁模型を出品し、人気投票で最優秀作品を選ぶ「学生部門」がある。阪神高速道路からは、毎年「会場製作部門」に有志社員チームが出場。2009年と2014年には「最優秀賞」を受賞するなど、輝かしい実績を残している。

規定
指定された材料を用い、チーム独自の設計案で支間長1000mm、幅員100mmの道路橋模型を2時間の制限時間内に製作。学識者、橋梁専門家からなる審査委員がデザイン性・技術度・完成度・経済性の4項目を審査し、さらに載荷試験で構造的な強度を評価して最優秀を競う。橋梁形式やデザインは、原則自由。
載荷試験
会場で製作した橋梁模型に25kgのおもりを載荷し、50mm以内のたわみ量で、なおかつ1分間持ちこたえられるかどうかをテストする試験。模型製作の翌日に行なわれる。
審査基準
1:デザイン性 2:技術度 3:完成度 4:経済性 5:載荷試験
*上記5項目の評価等により「最優秀賞」「優秀賞」等を決定。

参加 3チームと作品

神戸建設所
阪神高速 TEAM 湾岸西伸
橋梁名:斜挑橋

阪神高速湾岸線を西へ延伸する全長約15キロの「湾岸道路西伸部」。その海上に架設される予定の長大橋をイメージして設計した。斜張橋は模型で安定した強度を確保するための技術的難易度が極めて高く、コンテストでは敬遠されがちだが、技術的困難に挑むという思いを込めて、あえて斜張橋を選択。橋梁名も、斜張橋の2文字目に「挑」の字を用いた。

デザイン
  • 外側に傾けた2本の主塔から伸びるケーブルで橋体を支えるシンプルかつダイナミックなデザイン
  • 主塔とケーブルで羽を広げた鳥をイメージし、未来へ羽ばたく希望に満ちた長大橋を表現
構造
  • 他点で固定しない、自己完結型の斜張橋
  • ケーブルに竹ヒゴと凧糸を組み合わせて使用することで、引張力を最大限に発揮
  • ケーブルに1本ずつ丁寧に張力を導入し、桁端部に固定することで全体バランスの確保を実現
  • 桁下に鉛直方向の板材を入れることで張力が発生する方向を変化させ、鉛直荷重に対応
  • ケーブルと角材の接触位置はヤスリで磨き上げ、摩擦による引張力の低下を軽減
メンバー

関川 洋介

建設・更新事業本部
神戸建設所企画課
(2009年入社)

西海 能史

建設・更新事業本部
神戸建設所設計課
(2010年入社)

小倉 冴香

建設・更新事業本部
神戸建設所企画課
(2012年入社)

岡上 政史

建設・更新事業本部
神戸建設所設計課
(2012年入社)

川﨑 雅和

建設・更新事業本部
神戸建設所設計課
(2017年入社)

堺建設部
阪神高速 TEAM 大和川線
橋梁名:セグメント BRIDGE ~まち、川、緑とともに 大和川線~

トンネル構造が大半を占める阪神高速6号大和川線の設計・施工に携わるメンバーでチームを構成することから、大和川線建設工事現場の技術を集約。シールドトンネルを構成する1つのセグメントをモチーフに、2連のアーチでセグメントの形状をつくり、集中載荷にも耐える構造とした。また細部には、開削トンネル工法で用いられる鉄筋の継手構造や土留支保工で用いられる火打ち梁などの技術を用いた。

デザイン
  • 大和川線シールドトンネルを構成するセグメントを彷彿とさせる構造
  • 土圧・水圧に耐えるセグメントのアーチ、リブ構造を橋梁に採用
構造
  • 開削トンネル工法で用いた技術を細部に採用

こだわり1/継手構造

  • アーチの継手構造には、大和川線開削トンネルやシールドマシン発進・到達立坑で用いられる鉄筋の機械式継手を採用
  • 実施工と同様に、継手内部にズレ止めを目的としてボンドを注入しており、母材と同等の強度を実現

こだわり2/支保構造

  • 開削トンネルの土留支保工で用いられる火打ち梁を採用
  • 載荷時に補強リブが横ズレして力が逃げないよう、火打ち梁を施し、確実に力を下アーチに伝達
メンバー

杉村 泰一郎

建設・更新事業本部
堺建設部大和川線建設事務所
(2005年入社)

瀨崎 瑛

建設・更新事業本部
堺建設部大和川線建設事務所
(2014年入社)

伊佐 政晃

建設・更新事業本部
堺建設部設計課
(2016年入社)

加瀬 駿介

建設・更新事業本部
堺建設部設計課
(2016年入社)

本社・大阪建設部
阪神高速 Xテン Bridge
橋梁名:リニアーチ

材料を曲げず、リニア(線形)な角棒を組み合わせて美しい曲線を構成。これまでなかった「新しいアーチ橋」をめざした。「リニアーチ」とは、英語のリニア(線形)とアーチを組み合わせた造語。

デザイン
  • 角棒を多数組み合わせることで、直線だけのアーチ橋を実現。
  • 補強部材は最小限に抑えることで、景観に配慮した透過性の高い橋梁をめざした。
構造
  • 複雑に組み合わさった角棒全体に、まんべんなく力が分散するよう設計。
  • アーチ端部を結ぶタイ(引張り部材)に、竹ヒゴと凧糸を使用して軽量化。
  • 接合部には、5mm角棒では難易度の高い穴開けと竹ヒゴ打ちによる接合を多用。接合部の強化と軽量化を同時に実現。
メンバー

平野 正大

経営企画部
経営管理課
(2015年入社)

森 謙吾

計画部
事業計画課
(2015年入社)

平山 翔太郎

建設・更新事業本部
大阪建設部企画課
(2015年入社)

安積 恭子

大阪管理局保全部
保全設計課
(2016年入社)

松下 麗菜

技術部
技術推進室
(2017年入社)

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