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誰もが安心して利用できる安全なトンネルをめざして(5/5)

ここから始まる新たな挑戦。夢は果てしなく。

炎強調システムとWDRカメラは、大和川第1トンネルに設置・導入され、実用段階に入った。ではその先に、どんな可能性が広がっているのか。将来の夢を、2人に聞いた。

建部 実
井藤 貴文

AIを使った自動検知も視野に

将来の目標について、聞かせてください。(その時の感想を聞かせてください)
建部

私たちはトンネル防災に関して高い理想を掲げています。阪神高速が最終的に想い描いているのは、トンネル内で万が一火災が発生した時、人の手を煩わせることなくカメラが自動的に検知し、いち早く消火活動に移行して、お客さまの安全を守るシステムを実用化することにあります。今後さらに2つの技術を進化させ、新たな別の技術の開発にも取り組み、その理想に少しずつでも近づいていくことが、私たちに求められる使命だと思っています。

井藤

炎強調システムは、現状では防災指令員が火災を見つけやすくするためのものですが、例えば炎強調の機能をONにした状態で撮影した映像と、通常撮影の画像を重ね合わせ、その差分をAI技術で処理すれば、炎が出ているかどうかを瞬時に判断することで、少ない人数の防災指令員で、より広い範囲を対象に火災発生を検知することができます。

トンネルの防災力を飛躍的に向上させる可能性を秘めているのが、炎強調システムです。
建部

それをぜひやってみたいですね。トンネル火災は人命にも直結する脅威なだけに、社会的要請ともいえます。実証的な実験ができないハンディはあるものの、AI技術の進化には目覚ましいものがありますし、画像処理の技術も日進月歩で進化しています。技術的には十分可能だと思います。

ここでしかできないことがある

最後に、これをご覧の方にメッセージをお願いします。
井藤

炎強調システムとWDRカメラは、既にある技術を新しい視点から組み合わせたり、メーカーが持つ新しい技術の導入を検討することによって生まれたものです。「技術開発」というと、私たちは、ブレークスルーによって今まで世の中になかった技術を生み出すことだと思い込んでいますが、ある課題をメーカーの協力を得ながら、世の中にある技術をうまく融合させて解決していくという方法でも、世の中のためになる技術は生み出せる。その醍醐味、面白さというものを、ぜひ、より多くの人に気付いてほしい。2つの技術開発は、そのことを私に教えてくれたプロジェクトでもありました。

井藤 貴文
建部

阪神高速は、高速道路の会社ですので、土木や建築の専門家ばかりが活躍しているような印象を多くの人が持っているかもしれませんが、今回のプロジェクトのように、電気系の人間が活躍できるチャンスは多くあります。阪神高速という会社は、とても技術的こだわりの強い会社で、何度かメーカーの担当者の方から、「阪神高速さんで合格点をもらえたら、どこにもっていってもビジネスができる」といわれたことがあります。そういわれるだけの強い技術的こだわりは、長い年月の中で先輩たちが営々と培ってきた阪神高速ならではの気風です。阪神高速は、それを着実に受け継ぐ中で、メーカーの発想では生まれ得ない技術やシステムを生み出せる会社です。そのことを私はより多くの人に伝えたいと思っています。

建部 実
お忙しい中、ありがとうございました。
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