もう一つの難問題は、神戸高速鉄道側から鉄道の安全な運行に絶対に支障をきたさないよう、「仮受け杭の許容変位は、10m間の相対変位で1~2㎜にとどめる」という、非常に厳しい条件が提示されたことだった。
しかも、列車は一切徐行運転をしないという条件もついていた。
おっしゃる通り、厳しいです。仮受け工に変動を起こさせないというのに等しい条件であり、通常の管理手法では変動を制御するのが困難であったと思います。
実際の挙動としては、掘削によって土に抑えられていた地面が隆起する「リバウンド」や、構造物の重みによる「沈下」、温度変化による杭の「伸縮」などで数十㎜程度の変動は起こります。
ちなみに、一日の杭の伸び縮みだけでも2~3㎜の変動があり、それだけで管理値を超過してしまうのです。
鉄道事業者はお客様の安全輸送が第一です。厳しい管理値を設定し、工事を進めるのは大変でした。

仮受け杭と鉄道函体の間に120台ものジャッキを設置し、自動で函体変位をコントロールする『仮受け工自動制御システム』が開発されました。言わば簡単な人工知能のようなものです。
はい。従来、人間の手動操作で行ってきた変位制御を自動化したものです。
オペレータが手動でジャッキ圧やジャッキストロークを調整していては、一度に多くのジャッキに対応することが困難なので、このような管理値が厳しい工事への適用は無理。
そこで新規に開発した自動制御システムでは、(1)鉄道函体の絶対変位量、ジャッキ荷重を24時間秒単位で連続計測し、(2)計測データとジャッキの伸縮はコンピュータで集中管理、(3)測定変位が管理値に近づく傾向が表れた場合には、単体もしくは複数のジャッキを作動させ、鉄道函体の相対変位が小さくなるよう自動的に制御を行うことができるようになり、鉄道函体を良好な状態で仮受けすることが可能となったのです。
これらは、仮受け工全般の設計もされた神戸高速鉄道株式会社さんが最も苦労された点だと思いますが、厳しい制約があったからこそ生まれた技術と言えますね。
このシステムは、今後、変位の制限値が厳しい仮受け工事の現場での採用が期待される先進的な技術であると思います。
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