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誰もが安心して利用できる安全なトンネルをめざして(4/5)

WDRカメラ導入までの道のり たったひとつの製品、たったひとつの場所を探し求めて。

炎強調システムとともに、高速道路のトンネル防災の新たなツールとなるWDRカメラ。その導入にあたっては、カメラに求められる能力の見極め、条件にマッチした最適機種の選定、さらにベストな設置場所の選定など、いくつもの課題をクリアしなければならなかった。2人は、時間を忘れて没頭した。

建部 実

求められた高性能

必要とされるカメラの能力は、どのように割り出したのですか?
建部

最も重視したのは、ダイナミックレンジ、つまりカメラが追従できる明るさの範囲の広さです。晴天の時の屋外の照度はおよそ10万ルクス。それに対して大和川線のトンネルの最も暗い場所は19.5ルクス。ここからカメラに必要な「ダイナミックレンジ値」は計算ですぐに割り出せますが、トンネル出入り口付近は時間や方角によって差し込む太陽の光の明るさが違ったり、トンネル壁面からの照り返しなど外的要因が複雑に働きます。そうしたさまざまな条件まで加味しながら、必要とされるカメラの能力を割り出していきました。

製品の選定については、どうでしょう?
建部

業務用のWDRカメラは、いくつかのメーカーから製品がリリースされ、それぞれに特徴があり、能力にも差があります。一方、トンネルの防災カメラとして、サイズや耐候性など当社が定めた基準もある。これらのことも加味しながら、割り出した能力と製品のスペックを比較検討し、たったひとつの機種を選択するのは、なかなか骨の折れる作業でした。最終的には、「ダイナミックレンジ値130dB相当」の性能を備えた製品を採用しました。

井藤

カタログに記載されている数値を比較検討するだけでは判断を誤ることもあるので、実際の写りの善し悪しを見比べてみるために、設置現場に出向き、製品を使って実際に撮影をしてみて写りを確認する検証作業も行いました。採用した製品は、写りが、群を抜いて美しかったですね。

実地検証で最適な設置場所を選定

その設置場所ですが、「大和川第1トンネル」では何カ所にWDRカメラを設置することになったのですか?
井藤

すでに供用されている部分を撮影しているカメラだけでいえば、現状5カ所。加えてもう2カ所、すでに設置を完了しているので、合わせて7カ所ということになります。

それはどのように選定していったのでしょう。
井藤

WDRカメラはハレーション(白飛び)対策として導入するので、まずハレーションが起きる範囲を見極めることが必要です。トンネルの設計図面を見るだけでは、はっきりとしたことは言えません。またトンネルの向きや日の出の角度、太陽の光がトンネル内のどこまで差し込むのか、あるいは夏と冬では日当りの角度がどれくらい違うのかなど、あらゆる角度から外的要素について調べましたが、実際はどうなのか誰も確かなことは言えません。そこで先ほど触れたように現場に直接足を運んで実際に撮影し、映像を見比べながら選定を進めていきました。

建部

トンネルの防災カメラは、一般のカメラと違って画角もズーム(焦点距離)も固定されていて、絞りを変えたりできません。オートアイリスである程度はカバーできますが、画角やズームはそういうわけにはいかない。それだけに実際に現地に足を運び、最適な位置と画角を決め、試し撮りして、どれほどハレーションが起きているかを目で見て確認する検証作業が必要でした。結果、図面をもとに想定した以上に広い範囲でハレーションの影響があることが分かりました。

WDRカメラ必要箇所条件

図は、ハレーションの影響確認のために実際に現地に足を運び、WDRではない通常カメラを設置して撮影した映像 ①。
赤丸部分の拡大映像 ② を見ると、チェック柄のターゲット模様が辛うじて視認できるが、映像の画像処理(エッジ抽出)結果 ③ を見ると、比較用の正常処理映像と比べると、白黒の境界が滲んでしまっていることがわかる。
ここから、この地点にはWDRカメラが必要と判断した。

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