今回の工事でもう一つ特徴的なのが、鉄道函体と道路函体とが約30度の角度で交差しているということだった。
直角に交差する場合に比べ、仮受けしなくてはならない範囲は圧倒的に増え、延長120mという前例のない長さとなった。しかも、新設される道路函体の主筋と仮受け杭が干渉し、道路函体の鉄筋を連続して配筋できない。
そのため、主筋とは別に鉄道荷重を一時的に受ける盛替補強鉄筋を配置する必要が生じた。
縦横斜・複数段に鉄筋が走る事になるので非常に高密度な配筋となります。
鉄筋組立の際は、仮受け杭のある箇所の箱抜も考慮しなければならず、どのように組み上げるのか、机上では判断出来ませんでした。また、その高密度配筋にコンクリート密実に充てんできるのか、その施工性も検討する必要がありました。
そこで実物大供試体による施工性試験を行い、コンクリートの選定・鉄筋加工・継手方法等決定することが出来ました。
ボーリング機を改造したり、仮受け工の自動制御システムを開発したり、実物大のモデルをつくって実験したりと、ずいぶん手間がかかっていると思われるかもしれませんが、これまでに例のない大規模工事であり、鉄道の運行に支障をきたしてはならないため、それぞれの段階で皆さんが苦労されています。
それらの成果が合わさって、仮受け期間だけで6年間にも及ぶ長い工事を、無事に乗り切ることができたのだと思います。

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