阪神高速 先進の道路サービスへ

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地域や社会との「共創」でサステナビリティを実現する 阪神高速道路株式会社 代表取締役社長上松 英司

大阪・関西万博の成功に貢献

 2025年度は、前身の阪神高速道路公団が民営化され、20年という節目を迎えました。また、1970年以来55年ぶりとなる大阪・関西万博が開催されるなど、歴史に残る1年となりました。

 そのような中、阪神高速グループでは、大阪・関西万博の実現に向けた具体的なアクションプランである中期経営計画(2023~2025)に基づき、さまざまな取り組みを進めてきました。

 14号松原線喜連瓜破付近橋梁架替えなどリニューアルプロジェクトの大幅な工期短縮や、会場アクセスルートとなる淀川左岸線2期の暫定整備を実現し、大阪・関西万博の交通円滑化に大きく貢献することができました。また、お客さまにもっと便利で快適なサービスを提供するという観点からは、阪神高速のLINE公式アカウントをリリースし、大阪・関西万博を契機として交通情報や沿線のキャンペーン情報などをオールインワンで提供するサービスを開始しました。地域に根ざす企業として、大阪・関西万博成功の一助となれたことは、阪神高速グループにとっても大きな成果であり、何事にも代えがたい喜びとなりました。ひとえに、お客さま、地域の皆さまをはじめとしたステークホルダーの皆さまのご理解・ご協力の賜物であり、あらためて御礼申し上げます。

サステナビリティ経営の進化

 2023年1月、阪神高速グループはCSR経営からサステナビリティ経営へと舵を切りました。当時、サステナビリティ推進担当役員であった私としては、「何が変わって、何が変わらないのか」、「変えるべきもの、変えてはならないもの」を私たち自身が考え理解することが何より重要と考え、これまで取り組みを進めてきました。

 そして、この取り組みを通じて私が強く感じたことは、サステナビリティとは、「今」はもちろんのこと、「未来」の声なき声にも真摯に耳を傾け、行動し続ける姿勢ではないか、ということです。これからの50年、100年先の社会、そしてそのような未来社会を担う阪神高速グループの社員にとって、今の私たちの事業がどうあるべきか、「今」と「未来」の視点を常に持ちながら、丁寧な発信と対話を積み重ね、あらゆるステークホルダーの皆さまとともにこれからも歩んでいきたいと考えています。

阪神高速グループが新たに目指す姿

前提となる社会環境の変化
 一方で、阪神高速グループを取り巻く経営環境は急速に変化しています。

 例えば、少子高齢化、労働人口減少といった課題に加え、グローバルな社会課題としての気候変動問題はますます深刻さを増しており、豊かな社会・地球環境を前提として事業を営む企業としての適切な対応が求められています。また、自然災害の頻発化・激甚化、インフラの老朽化やそれらに対応する担い手の不足、労務費や物価の急騰などは阪神高速グループの事業に直接影響を及ぼすものであり、喫緊の課題として対応する必要があります。

 これら課題に対する解決の糸口になる動きとして注目すべき点は、技術のめざましい進展です。AI・ロボットや自動運転に代表されるデジタル技術の進展以外にも、ペロブスカイト太陽電池など再生可能エネルギーを含むエネルギー活用に関する新技術は、気候変動や担い手不足の解消の手段になり得ると考えています。

 こうした社会の変化を踏まえ、2026年4月、阪神高速グループは新たに「阪神高速グループビジョン205X」と「中期経営計画(2026~2028)」を策定しました。

新しいグループビジョンのありたい姿
 新しいグループビジョンでは、未来社会において阪神高速グループがどのような存在でありたいか、またあるべきか、そして社会やお客さまにどのような価値を提供していきたいかを踏まえ、阪神高速グループの「意志ある未来」を次の3つの柱のもとに描いています。

 1つ目の「変わらぬ使命をサステナブルに遂行」では、阪神高速グループの変わらぬ使命、すなわち信頼性が高く強靭な高速道路ネットワークを整備し、地震などの自然災害に着実に備えるとともに、100年先もお客さまに安全・安心・快適なサービスを提供できるよう、さまざまな構造物や設備のメンテナンスを行っていきます。さらに、脱炭素化やインフラの担い手不足といった社会課題に対しても、より高みを目指して取り組んでいきたいとの決意が、「サステナブルに遂行」の言葉に込められています。

 2つ目の「新たな価値を創出」では、デジタル技術の進展を背景とした、新たな社会的ニーズへの対応が必要と考えています。例えば、自動運転技術の応用により、人手を要さず人・物を運べるサービスの提供が挙げられます。また、今後は「人や物を運ぶインフラ」という従来の枠を超えて、通信インフラ、エネルギーインフラのような役割を期待される時代が到来することも予想されます。さらに、阪神高速グループが有する技術やノウハウを活用し、多様化する国内外のニーズに応じた一層の貢献ができる場面も想定していきたいと考えています。

 3つ目は、「人の成長と技術力・ナレッジの進化」です。組織がサステナブルに成長するためには、意志あるリーダー層が連綿と続くこと、今のリーダー層だけでなく、次の世代、そしてその次の世代が着実に育ち、力が発揮できる「文化・風土」や「しくみ」を築くことが重要だと感じています。今回、グループビジョン策定の初期段階では、中堅社員を中心に社会や阪神高速グループの未来を自由に考える機会を設けました。その理由は、社員の未来志向や創造志向、さらには主体性を養いたいという意図があったからです。より高みを目指し、安全・安心・快適な都市高速道路ネットワークを提供するとともに、グループビジョンに掲げる「新たな価値の創出」の実現に向けて、自ら積極的に周囲を巻き込み、対話を通じてより良い社会の実現に貢献してほしい、それが私の想いでもあります。

「つなぐ力」でサステナビリティに貢献する

 私はよく「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に夢なき者に成功なし。」という吉田松陰の言葉を引用して、夢を持つことの重要性を伝えています。すなわち、夢があって初めて計画があり、行動があるということです。こうしたことを一人ひとりが自分ごととして捉えることで、持続可能な社会の実現に貢献するとともに持続的な企業価値の向上につながるものと私は考えています。新しいグループビジョン策定にあたっても「意志ある未来」をキーワードに据え検討を進めました。未来は誰かに与えられるものではなく、自ら切り拓いていくものだという、私たちの決意をあらためて込めた次第です。

 2026年度の阪神高速グループのスローガンは、「つなぐ力で 意志ある未来へ」としました。高速道路で「“まち”と“まち”をつなぐ」ということはもちろんのこと、「人と人をつなぐ」、「縁をつなぐ」、さらには「過去・現在・未来をつなぐ」など、「つなぐ力」には非常に幅広い意味が込められています。阪神高速グループは、そういったさまざまな意味が込められた「つなぐ力」を通じて、サステナビリティの実現にこれからも貢献していく所存です。ステークホルダーの皆さまには今後とも変わらぬご支援のほど、よろしくお願いいたします。