前提となる社会環境の変化
一方で、阪神高速グループを取り巻く経営環境は急速に変化しています。
例えば、少子高齢化、労働人口減少といった課題に加え、グローバルな社会課題としての気候変動問題はますます深刻さを増しており、豊かな社会・地球環境を前提として事業を営む企業としての適切な対応が求められています。また、自然災害の頻発化・激甚化、インフラの老朽化やそれらに対応する担い手の不足、労務費や物価の急騰などは阪神高速グループの事業に直接影響を及ぼすものであり、喫緊の課題として対応する必要があります。
これら課題に対する解決の糸口になる動きとして注目すべき点は、技術のめざましい進展です。AI・ロボットや自動運転に代表されるデジタル技術の進展以外にも、ペロブスカイト太陽電池など再生可能エネルギーを含むエネルギー活用に関する新技術は、気候変動や担い手不足の解消の手段になり得ると考えています。
こうした社会の変化を踏まえ、2026年4月、阪神高速グループは新たに「阪神高速グループビジョン205X」と「中期経営計画(2026~2028)」を策定しました。
新しいグループビジョンのありたい姿
新しいグループビジョンでは、未来社会において阪神高速グループがどのような存在でありたいか、またあるべきか、そして社会やお客さまにどのような価値を提供していきたいかを踏まえ、阪神高速グループの「意志ある未来」を次の3つの柱のもとに描いています。
1つ目の「変わらぬ使命をサステナブルに遂行」では、阪神高速グループの変わらぬ使命、すなわち信頼性が高く強靭な高速道路ネットワークを整備し、地震などの自然災害に着実に備えるとともに、100年先もお客さまに安全・安心・快適なサービスを提供できるよう、さまざまな構造物や設備のメンテナンスを行っていきます。さらに、脱炭素化やインフラの担い手不足といった社会課題に対しても、より高みを目指して取り組んでいきたいとの決意が、「サステナブルに遂行」の言葉に込められています。
2つ目の「新たな価値を創出」では、デジタル技術の進展を背景とした、新たな社会的ニーズへの対応が必要と考えています。例えば、自動運転技術の応用により、人手を要さず人・物を運べるサービスの提供が挙げられます。また、今後は「人や物を運ぶインフラ」という従来の枠を超えて、通信インフラ、エネルギーインフラのような役割を期待される時代が到来することも予想されます。さらに、阪神高速グループが有する技術やノウハウを活用し、多様化する国内外のニーズに応じた一層の貢献ができる場面も想定していきたいと考えています。
3つ目は、「人の成長と技術力・ナレッジの進化」です。組織がサステナブルに成長するためには、意志あるリーダー層が連綿と続くこと、今のリーダー層だけでなく、次の世代、そしてその次の世代が着実に育ち、力が発揮できる「文化・風土」や「しくみ」を築くことが重要だと感じています。今回、グループビジョン策定の初期段階では、中堅社員を中心に社会や阪神高速グループの未来を自由に考える機会を設けました。その理由は、社員の未来志向や創造志向、さらには主体性を養いたいという意図があったからです。より高みを目指し、安全・安心・快適な都市高速道路ネットワークを提供するとともに、グループビジョンに掲げる「新たな価値の創出」の実現に向けて、自ら積極的に周囲を巻き込み、対話を通じてより良い社会の実現に貢献してほしい、それが私の想いでもあります。