トップページ > 大震災からの復旧と防災 > 防災・減災への取組み - 長大橋に適用した免震・制震技術

防災・減災への取組み - 長大橋に適用した免震・制震技術

すべり免震システムと座屈拘束ブレース
(港大橋)

港大橋では、床組(車両が走行するデッキ部分)を支える金属支承をすべり免震支承に取り替えて地震力を低減し、「主構」とよばれる主要部材(橋の骨格となるトラス部材)に損傷が生じないようにしています。また、二次部材(主要部材を補助する部材)である対傾構や下横構にある程度の損傷を許容し、地震エネルギーを吸収させて主要部材を健全な状態に保つ「損傷制御構造」を採用しています。具体的には、対傾構や下横構を座屈(両端から強い圧縮力を受けてひしゃげるように破壊すること)から防ぎ、地震エネルギーを吸収する「座屈拘束ブレース」に取り替え、主構に損傷が生じないようにする制震技術を用いています。

港大橋:座屈拘束ブレース/すべり免震支承/積層ゴムばね

せん断パネルダンパー
(天保山大橋)

天保山大橋では、塔下部の斜材と水平ばりが交わる接合部(ガセット部)に「せん断パネルダンパー」を設置して地震力を低減しています。せん断パネルダンパーとは、低降伏点鋼(降伏点が一定で想定する荷重で確実に塑性化するじん性に富む鋼材)で構成される鋼板がせん断方向に変形し、塑性化することで地震エネルギーを吸収する制震装置です。塔斜材が座屈(両端から強い圧縮力を受けてひしゃげるように破壊すること)するのを防止し、地震力を低減することで主桁の支承が損傷することも防ぎます。

天保山大橋:拡大図

縦置きサンドイッチ型積層ゴムダンパー+ケーブル
(東神戸大橋)

東神戸大橋では、オールフリーの支持形式(塔や橋脚の支承で主桁を支えず、ケーブルで主桁を吊り下げる形式)を採用しており、大地震に対して過大な主桁の変位が生じる恐れがあります。そこで、過大な主桁の変位を抑制するために、縦置きサンドイッチ型積層ゴムダンパーとケーブルを組み合わせた制震装置を設置しました。「縦置きサンドイッチ型積層ゴムダンパー」とは、積層ゴム(ゴムと鋼板を積層状に重ね上げた装置)を縦方向に配置し、サンドイッチ型とすることで積層ゴムが大地震に対してスムーズに変形することを特徴とする制震装置です。

東神戸大橋:拡大図