第三者意見

本レポートについて、「阪神高速事業アドバイザリー会議」議長代理であり、交通インフラ分野の第一人者の正司氏に第三者意見を執筆していただきました。「阪神高速事業アドバイザリー会議」とは、専門知識を有する7名の外部有識者で構成される、第三者委員会です。日頃から当社グループの経営改善や事業全般について、常に公正な立場で助言をいただいています。

さらなる前進に期待

神戸大学大学院 経営学研究科 教授 正司 健一
神戸大学大学院 経営学研究科 教授 正司 健一

本レポートを読んで何より感じたのは、グループの理念「先進の道路サービスへ」にいかに真面目に取り組み、「安全・安心・快適なネットワークを通じてお客さまの満足を実現し、関西のくらしや経済の発展に貢献」することを使命として、地道で多様な努力をしているかです。それらはその内容、60ページ近くにわたるボリュームに象徴されています。理念の実現がCSRの推進につながるとする阪神高速グループならではのレポートといえるでしょう。SDGsと絡めながらの説明にも好感を持てます。

阪神高速グループが提供しているのは、基本「道路」というモノであり、移動サービスを実際に生産しているのは、その道路空間を利用している人々、すなわち顧客自身です。道路以外にも、例えば案内情報やパーキングエリアといったサービスも提供していますが、これらも移動という本源的ニーズからすれば補助的な位置づけのものに過ぎません。しかし阪神高速グループは「道路サービス」を、「高速道路を通じてお客さまにとって役立ち、お客さまの期待を超えて満足していただくこと」と捉え、ハードとしての安全な構造物とともに安心して利用できるサービスを供給することで、地域に重要かつ信頼できる、いわば舞台装置を提供しています。これからは、単に道路サービスの提供にとどまらず、地域の皆さまへの新たな価値の提供を模索することが大切になるでしょう。そのためには、自らの提供している道路ネットワーク沿線に、その活動範囲を限定しなくてもよいかもしれません。

ところで、期待を超えるサービスの水準を提供し続けることは容易なことではありません。よく言われるように、顧客の期待に際限はなく、当初は期待以上と判断されていたものも、いつかそれが当然と認識されるようになり、より高い水準が求められるようになります。最高水準を設定してしまうことは、進歩を諦めることにもつながってしまうので注意が必要ですが、一方で合理的な範囲を超える費用をかけてまで向上させることもできません。そのうえ、所掌外の一般道路の利用なくして人々の移動が完結しないこと、道路混雑が顧客各自の判断の結果、需要過多となって生じること、さらには日本高速道路保有・債務返済機構との間の制度的枠組といった制約があります。それだけに、自らの努力をステークホルダーの皆さまに正しく評価していただき、合理的な期待水準を形成していただくためにも、このレポートの果たす役割は大きいと考えます。このような視点に立ったとき、真摯な努力を積み重ねることはもちろんですが、この読み応えのあるフルバージョンに加えて、読みやすい目的に応じた要約版があればとつい思ってしまいます。

ご意見を受けて

取締役 兼 常務執行役員<br>小関 正彦
取締役 兼 常務執行役員
小関 正彦

本レポートの発行にあたり、阪神高速グループの取り組みについて、貴重なご意見と高い評価のお言葉をいただき、誠にありがとうございます。

CSRの推進とグループ理念の実現は表裏一体であります。

CSRはいわゆる社会貢献活動に限定したものではなく、当社グループの事業は高速道路の整備や管理にとどまるものではありません。グループ理念の実現を目指して、グループが一体となってCSRの推進に取り組むことが不可欠であると考えています。また、SDGsはCSRに関する社会の重要な共通言語のひとつです。今後とも、SDGsの浸透を図り、グループ社員一人ひとりが

CSRを自分ごととして捉えて考え、実践することにより、グループの事業を通じた社会への新たな価値の提供に取り組みます。

さらに、ステークホルダーの皆さまとの対話も重要な課題です。「お客さまの満足」とは何か、グループとして自己満足に陥ることなく、真摯に追及しなければなりません。そのためには、ご指摘にもありましたように、様々な制約があることを伝えることも含めて、ステークホルダーの皆さまとの率直なコミュニケーションが欠かせません。このようなことも踏まえ、本レポートの内容や形式についてどのように改良すべきか、引き続き常に検討しながら、わかりやすく質の高い情報発信に努めます。