トップメッセージ


すべてのステークホルダーの皆さまとの
コミュニケーションを大切に、
さらなる
「先進の道路サービスへ」
挑戦します。
阪神高速道路株式会社
代表取締役社長 幸 和範

関西の発展とともに歩んだ歴史
阪神高速グループが果たしてきた役割

阪神高速道路公団は、日本が高度経済成長期を迎えるなか、都市への急激な産業と人口の集中による交通事情の悪化に対応するため、1962年に設立されました。

その後、1970年の大阪万博を契機に、阪神高速道路の整備が飛躍的に進展しました。千里の丘陵での会場整備と関連公共事業計画が開催の3年前に閣議決定され、約50kmの道路整備が急ピッチで進められました。ネットワークは都心部の環状線と放射路線の約75kmとなり、国を挙げてのビッグイベントにおいて、円滑な車両交通の確保という大きな役割と責任を果たすことができました。

その後も、関西国際空港の開港などを節目として、ベイエリア地域の交通処理や、内陸部からベイエリアへの交通確保のための道路整備に取り組みました。

そして、1995年、阪神・淡路大震災の発生により、3号神戸線を中心とする延長約30kmの高速道路が甚大な被害を受け、関西の経済活動に大きなダメージを与えました。当初、その復旧には3年はかかるといわれていましたが、関西の皆さまの後押しと、すべての関係者の方々の知恵と努力により、1年8ヵ月で成し遂げることができました。3号神戸線の早期復旧は、神戸の街や関西経済の復興に励ましと希望を提供するなど大きな役割を果たしました。

このように、阪神高速道路は50年余りにわたって関西のヒトやモノの流れを担い、ステークホルダーの皆さまとともに歩んできました。今では、ネットワーク延長は約250km、1日に約72万台のお客さまにご利用いただき、阪神間の貨物輸送の約50%を担っています。阪神高速道路が果たす役割と責任はとても大きく、重いと感じています。

国と関西、政官財が思いをひとつに
ミッシングリンク解消への取り組み

2017年、2つの大きなミッシングリンク解消のための事業がスタートしました。関西の長年の悲願であった、大阪湾岸道路西伸部の延長約15kmと、淀川左岸線延伸部の延長約8kmです。また、その財源も考慮した公平でシンプルな料金制度への移行も実現しました。

淀川左岸線延伸部は、都心部にある約10kmの環状道路の外側に形成される大きな環状道路の一部にあたる路線で、これが完成すると、大阪に全長約60kmの大きな環状道路が誕生することになります。

現在は、都心に目的がない車も、一旦、都心部の環状道路を経由してから郊外に移動することも多く、交通集中による渋滞の原因となっています。環状道路が完成すると、交通の分散によって効率的な交通処理が可能となり、環境の改善にも寄与します。それだけに期待が大きく、責任も重大です。現在、新しい組織を立ち上げ、関係機関としっかりとした連携を取りながら、着実に進み出しています。

将来にわたって安全・安心を届ける
リニューアルプロジェクト

道路構造物の設計上の耐用年数は、おおむね50年程度とされてきました。一方、阪神高速道路は、道路延長のうち約4割が築40年を迎えていますが、丁寧な点検ときめ細やかな補修によって健全な状態が保たれています。それでも、今までの補修では十分でない箇所が出てきています。そういった箇所を大規模に更新・修繕するのがリニューアルプロジェクトです。今後、約10年かけてリニューアルを進めることとしており、現在、阪神高速道路の各路線でリニューアル工事を順次実施しています。

また、一度更新・修繕しても、10年、20年経過すると新たな不具合も出てきます。点検技術の向上により損傷状態を的確に把握し、傷む前に手当をする「予防保全」を実現することで、100年後にもお客さまに安全・安心にご利用いただけるネットワーク機能の確保を目指していきます。

天王寺公園から望む14号松原線

万一に備えた、自然災害へのより高度な対策

高速道路を運営していくうえで、自然災害は避けることのできない大きな脅威であり、特に昨年は、地震や台風、大雨、そして酷暑など、これまで以上に自然災害が猛威を振るいました。

阪神高速の責務は、このような自然災害に直面しても、安全を確認しながら、ヒトやモノのスムーズな移動を確保することです。例えば、一定規模以上の地震発生時は、ルールとして安全確保のために一旦通行止めにして、高速道路を走行しながらの点検と、高速道路の下からの点検の両方で安全を確認してから、お客さまに通行していただいています。昨年の大阪北部地震の例では、通行止めから再開までの所要時間は約5時間でしたが、近年、経済活動や都市生活のスピードが早まっている中で、もっと短縮すべきとのご意見もいただくようになりました。

そこで、今年の1月18日、阪神・淡路大震災から24年を期して、点検時間の短縮と安全の確保を両立させるためのルール改正を行い、以前よりも早く、きめ細やかな判断で、通行止め時間を短縮できるようにしました。

自然災害がより激しくなると同時に、阪神高速道路への期待や要求のレベルも高まっていくなかで、社会や時代のニーズにいかに応えていくか。私たち阪神高速のさらなる進化が求められています。

万博を見据えた関西のまちづくりへの貢献やインバウンドへの対応

2025年に大阪・関西万博が開催されます。人工島での開催のため、会場へのアクセスを現在の交通とどのように組み合わせ機能を確保していくのかが、今後の大きな課題です。さらには、万博がゴールではなく、その先の関西のまちづくりやネットワークづくりを見据えて取り組むことが必要です。

また、現在も多くのインバウンドのお客さまが関西に来られていますが、今後さらに大きな潮流となると予想されるなか、一人でも多くの方に「関西に来て良かった」と心から感じていただけることが大切です。阪神高速では、2年前から「お客さま満足アッププラン」を策定し、「徹底したお客さま目線」でさまざまな企画やサービスを展開しており、今後はそのなかに「海外のお客さまの満足とは何か」ということをしっかりと組み込んでいかなければなりません。阪神高速は、そんな新たなフェーズにきていると思います。

大阪・関西万博の会場イメージ(経済産業省提供)

地域社会に果たすべき責任
CSRへの取り組みとSDGsへの貢献

CSRへの本格的な取り組みが始まったのは、公団から株式会社となった2005年以降で、当初は、ライトアップや高速道路周辺の美化などの社会貢献活動から始まりました。

阪神高速では、高速道路の料金収入をメンテナンスなどの管理費用に使用し、残りを建設費用の返済に充てるため、「高速道路事業」だけでは、いわゆる社会貢献活動の財源がありません。そこで、地方自治体の道路の点検や補修といった「高速道路関連事業」を展開し、その利益の一部を財源として、社会貢献活動に取り組んでいます。「道路事業の徹底こそが地域社会への貢献」との考えを基本としながら、道路事業で得た技術やノウハウを活かして、少しでも社会のお役に立ち、地域の皆さまに喜んでいただける活動を展開することが、阪神高速グループのCSR基本方針です。

また、事業活動を含めたCSRを通じて、SDGsの目標達成に貢献することはとても大切です。建設事業では環境に配慮した材料の使用や、建設で発生するコンクリートくずやアスファルトくずに対してリデュース・リユース・リサイクルの3Rをテーマに活動しています。そういった活動の一つひとつをきちんと整理し、精査することで、より明確にSDGsの目標達成に貢献することができ、さらに阪神高速の未来に向けた企業像「ビジョン」やグループ理念の「先進の道路サービスへ」の実現につなげていけると考えています。

SDGs(持続可能な開発目標)17の目標

阪神高速グループ理念
「先進の道路サービスへ」に込めた想い

グループ理念である「先進の道路サービスへ」は、民営化の際に掲げたものです。当時の役員と社員が一緒になり、数年の歳月をかけ、議論を尽くして生まれました。

「先進の」とは、常に一歩先を見るということ。例えば、高速道路の遮音壁を最初に導入したのは阪神高速で、その後全国でルール化されています。他にも、一定の騒音レベル以上の住宅に二重窓やエアコンなどを助成する「防音工事助成」の制度や、沿道に「環境施設帯」を設け、道路からの騒音や振動を遮り、大気の質を改善する取り組みなど、いずれも阪神高速がいち早く取り組んだものです。そういった先見の明、「先進性」が阪神高速にはあります。沿道の方々や地域の皆さまと距離が近いことから、常にその方々の声を聞き、ご要望やご希望を叶えるために真摯に取り組んできた成果だと考えています。

「道路サービス」とは、一つには安全な構造物であるための維持・管理であり、また一つには、お客さまに安心してご利用いただけるサービスの提供です。阪神高速道路では年に1度、特定の路線を1週間程度通行止めにして、集中的に補修を実施しています。部分的な交通規制では、長期間にわたり渋滞によるご迷惑が生じるほか、走行車両による振動などで質の良い作業ができないためです。経済界の方々には「質の高いメンテナンスを実現するため、1週間ください」とご理解をいただいています。また、沿線にお住まいの方々には、工事対象区間の沿道の街区の全戸にお知らせし、ご不在の場合はお会いできるまで何度でもお伺いしています。さらに、工事終了後には、沿道の皆さまからのご意見や、「お客さまセンター」にお寄せいただいたご意見を参考に、工事方法やサービスの改善、向上に努めています。

阪神高速は、人々の生活に近く、地域社会に根ざした存在です。それは、大きな価値であると同時に大きな責任が伴います。だからこそ、お客さまをはじめ、すべてのステークホルダーの皆さまとの、一つひとつの対話がとても大切になります。

「安全・安心・快適なネットワークを通じて関西のくらしや経済の発展に貢献する」。これこそが阪神高速の使命です。すべてのステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを大切に、一段上の先進の道路サービスへ向けて、これからも挑戦を続けてまいります。