阪神高速のこだわりの技術

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倒壊した3号神戸線

1995年1月17日。兵庫県南部を襲った地震は、多くの尊い命を奪い、人々の心に深い傷跡を残した。
被災地の道路もまた、甚大な被害を受けた。無残に倒壊した阪神高速道路の橋脚の姿は、多くの人々の記憶に残っているのではないだろうか。

「災害に強い構造物をつくってきたはずなのに」
「人々の安心と安全を守っているという誇りが支えだったのに」

阪神高速の事業に携わってきた人々の心もまた、深い傷を負った。

京(けい)コンピュータは、理化学研究所計算科学研究機構が所管するスーパーコンピュータ。総開発費1,120億円を掛け、平成24年6月に完成した。世界第1位の計算処理速度(平成28年7月時点)を有する。医療、気象、化学、防災など幅広い分野で活用されている。

あれから20余年―。阪神高速ではスーパーコンピュータ「京」(以降、「京」)を使い、従来の地震応答解析では評価しきれなかった連続高架橋の地震時の挙動を求めるため、大規模シミュレーションを行った。地震応答解析とは、地震が起こった際に、構造物がどのような挙動をするのかを求める計算技術だ。

連続高架橋といっても、その規模は全長で約20km。今までの計算技術では検討することすら難しい膨大な量の計算を要する解析になる。これは阪神高速では前例のない、大きな技術的挑戦だった。

果敢に取り組んだのは、技術部技術推進室(現 大阪管理局保全部保全設計課)の八ツ元 仁。
取り組みの結果、安心・安全を実現する技術の開発に「京」を活用できる可能性が確認でき、技術の新たなるステージへの一歩が踏み出せた。

八ツ元 仁

この研究を始めたきっかけは?

八ツ元

やはり阪神・淡路大震災での被災経験です。

震災を経験された先輩たちから、震災当時、初動が大変だったと聞いています。地震直後は情報もほとんど入りにくい状態で、どこでどのようなダメージがでているのか把握することすら難しかったそうです。結局、社員が現場に行き、被害状況を直接確認することで全容を把握したとのことです。地震によるリスクを事前に捉えることができていたら、初動活動がスムーズとなり、その後の復旧活動もより効率的に進められたと思います。

震災時のこのような悔しい思いもあったため、阪神高速では10年以上前から、地震時の構造物の被災度を推定する検討を進めてきました。

この検討の結果、被災度推定システムとして確立され、現在では、地震が起こった後に、各社員のパソコンから被災状況を確認できるようになっています。今後、大きな地震が生じた際は、このシステムをうまく使って初動活動に生かせるようになっています。
しかし、一方で、阪神高速という大規模ネットワークの被災度推定については、計算精度の面で十分でない部分もあり、課題として残っていました。

目次
Challenge編 目指すはバーチャル世界での防災訓練
スーパーコンピュータ「京」を使った技術的挑戦
1ページ研究を始めたきっかけー震災に対する想いー
2ページこれまでのシステムの課題と「京」との出会い
3ページ「京」を使用した大規模シミュレーション