阪神高速のこだわりの技術

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新たな課題の克服に向けて[ARS問題第3期]

平成12(2000)年、ASR問題に取り組んできたメンバー達は新たな課題に直面した。ごく少数ではあるが、劣化の進行した橋脚の梁部において、鉄筋に損傷が確認されたのである。ASRに関しては、これまでにも課題に応じた委員会が随時設置されてきたが、平成14(2002)年、阪神高速は新たに「ASR橋脚の維持管理に関する検討委員会」を立ち上げ、対応策を検討することになった。

どのようにして、鉄筋の損傷が確認されたのでしょうか

新名

あるASR橋脚にすごいひび割れが入っているのが見つかったんです。
9mmという、大きな幅のひび割れでした。

図:9mmもの大きな幅のひび割れが見つかった橋脚 写真:主鉄筋定着端折曲げ部の破断
写真:鋼板巻立て工法による補強事例

橋脚表面のコンクリートを除去してみると、大きなひび割れが発生していた部位に鉄筋の破断を確認しました。鉄筋まで損傷させるとは驚きでしたが・・・。
この橋脚では、鉄筋の破断やコンクリートの強度の低下などの劣化状況をふまえて、橋梁の梁に鋼板を接着する補強工事を行いました。

写真:「ASR構造物の維持管理マニュアル」※1
佐々木

鉄筋の破断は、コンクリートと鉄筋が一体になって働くという、鉄筋コンクリート構造物の基本的な枠組みを脅かすものです。今日でも鉄筋損傷の発生メカニズムはまだ十分に解明されておらず、至急取り組まなくてはならない課題として、研究を続けています。
鉄筋が切れる事態にまで至ったASRですが、これまでの長いASRとの闘いの中で、維持管理の方法も蓄積されてきました。平成19(2007)年には、鉄筋破断の修復と維持管理について詳しく解説した維持管理マニュアルも作成しましたし、新たな知見が得られた場合や、調査や対策工に関する新技術が開発された場合等には随時改訂していく予定です。
ASRは俗に"コンクリートのがん"と言われます。
これは、ASRの厄介さをよく言い当てていると思いますが、我々だって負けません。せっかく造った構造物が蝕まれるのを、手をこまねいて見ているわけにはいきませんから。

*1:
「ASR構造物の維持管理マニュアル」:
(財)阪神高速道路管理技術センター、書店にて販売中