特集2 ミッシングリンク解消で関西のくらしをもっとサステナブルに

大阪・関西万博を目前にひかえ、関西のまちは次第に活気が満ち溢れてきました。日常のくらしをもっと快適に、また安全・安心が持続するまちづくりに貢献するためにも、私たちは全力でネットワークの整備に取り組み続けています。

  • 大阪建設部企画課
    藤原 理絵

  • 建設企画部企画課
    川合 将斗

  • 神戸建設部湾岸西伸
    第二建設事業所
    出口 翔理

関連するSDGsの目標
  • 3:すべての人に健康と福祉を
  • 9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11:住み続けられるまちづくりを
  • 13:気候変動に具体的な対策を
  • 17:パートナーシップで目標を達成しよう

ミッシングリンクはなぜ解消する必要があるのか
― 関西一円を結ぶ道路ネットワークの構築 ―

ミッシングリンクとは、途中で切れている未整備区間のことを指し、阪神高速道路は関西経済を支えるインフラとして、物流や観光に大きな影響を与えるため、早期のミッシングリンクの解消が求められています。道路ネットワークの整備が進むことで複数の経路を選択できるようになり、都心部の渋滞緩和や、移動時間の短縮などで交通の円滑化が図られ、より快適な走行が可能となります。

ミッシングリンクの解消による、くらしと環境へのメリット

ミッシングリンクの解消により、渋滞緩和や移動時間の短縮、環境負荷の軽減など、お客さまのくらしにさまざまなメリットをもたらします。また、関西経済の活性化や、災害に強いまちづくりにも貢献します。

メリット01 都心部などへ集中する交通負荷の軽減、移動時間の短縮

阪神高速道路では、現在、大阪と神戸の都心部を避けるルートが未整備であり、特に3号神戸線においては、全国都市高速道路のなかで渋滞損失時間がワースト1位になるなど、慢性的な渋滞が発生するという問題を抱えています。淀川左岸線(2期・延伸部)の完成により大阪都市圏の外周がネットワーク化され、都心部に用事のない交通を外周へ転換し、交通負荷を軽減します。また、大阪湾岸道路西伸部の完成により、国際戦略港湾や関西国際空港などの物流拠点への移動時間が大幅に短縮されるなど、物流の効率化も図れます。

淀川左岸線延伸部 整備効果の例

  • 1:大阪都市圏とは、大阪都市再生環状道路の内側の地域
  • 2:大阪都市圏を通過する交通の流入台数は、H22全国道路・街路交通情勢調査結果より推計

大阪湾岸道路西伸部 整備効果の例

  • 出典 : 国土交通省調べ プローブデータ(H25.10 平日17時台の平均)
  • 3:国土交通省公表資料より

CO2排出量の削減にも貢献

新たなネットワークが完成することで、走行距離の短縮や渋滞緩和などが見込まれており、CO2排出量の削減など環境負荷軽減も期待されます。

メリット02 事故や災害時の代替路を確保し、交通規制によるお客さまの負担を軽減

都市高速道路では、渋滞時に事故が発生しやすく、さらに事故車の撤去など通行規制による渋滞も発生しています。新たなネットワークの整備で交通事故などによる通行規制時のう回路としての機能はもちろん、災害時の避難・救護活動を支える広域的な輸送ルートとしての機能が期待されます。

淀川左岸線(2期・延伸部)整備効果の例]

  • 出典 :【所要時間】国土交通省調べ プローブデータ(R1.10 (7~19時平日平均))
    淀川左岸線延伸部 利用所要時間は、プローブデータ+淀川左岸線延伸部(設計速度60km/h)で算出
    【事故件数・規制時間】 当社調べ(R1年度データ)

メリット03 新たな物流・観光ルートの整備で地域の活性化

ネットワークの整備により、利便性が向上し、沿線地域への企業誘致が促されるなど、地域経済の活性化が期待されます。また、大阪の臨海部はユニバーサル・スタジオ・ジャパンTMなどが立地するほか、新たな国際観光拠点となる舞洲まちづくりなど今後も多くの観光客が訪れると見込まれており、淀川左岸線(2期・延伸部)の整備により内陸部と臨海部とのアクセスが向上します。

淀川左岸線(2期・延伸部)整備効果の例

ミッシングリンク解消に向けたプロジェクト

お客さまの利便性の向上、関西経済の活性化を目指し、ミッシングリンクの解消に向けた建設事業を進めています。

TOPIC 01 「大阪都市再生環状道路」の完成を目指して

「大阪都市再生環状道路」の北側の一部を構成する道路として、国や大阪市との共同事業が進められています。都心部での事業であること、大深度地下シールドトンネル区間も含まれることなど、高い技術力を要する事業に挑んでいます。

平面図

断面図

淀川左岸線(2期)

  • 開通済みの淀川左岸線(1期)と3号神戸線との接続部である海老江ジャンクションから、豊崎(国道423号新御堂筋)までの4.4kmを結ぶ路線。
  • 本路線の大部分は開削トンネル構造で、河川堤防との一体構造となる計画です。共同事業者である大阪市と事業を進めています。
  • 大阪・関西万博時のアクセスルートとしての活用を目指しています。
  • 大阪市より当社が受託した海老江地区および豊崎地区の工事(開削トンネル・橋梁・換気所)については、現在、土留壁工、掘削工や橋脚工などを実施しています。
換気所および開削トンネル掘削工(海老江地区)

淀川左岸線延伸部

  • 近畿自動車道の門真ジャンクションから、淀川左岸線(2期)の豊崎までの8.7kmを結ぶ路線。
  • 本路線は、大部分が開削トンネル工法およびシールドトンネル工法によるトンネル構造。淀川左岸線(2期)と同様に、一部区間で河川堤防と一体構造となる計画です。共同事業者である国、NEXCO西日本と事業を進めています。
  • 現在、当社においては、トンネルおよびシールド立坑などの設計検討、堤防・道路一体構造の安全性などの検討を実施しており、また、本体工事着手に向けて地中障害物撤去工事などを実施しています。
地中障害物撤去工事(豊崎地区)

TOPIC 02 「大阪湾岸道路西伸部」では新ランドマークの長大橋の架設に向けて

神戸の新たなランドマークになることが期待される2つの「長大橋」の架設について、さまざまな技術的課題などへ対応していくため、有識者委員会での審議も踏まえ、鋭意検討を進めており、「災害時の道路機能確保」「景観性」および「維持管理性」などの観点から橋梁形式が選定されました。さらなる事業推進に向け、耐震・耐風・景観などを考慮した設計検討を実施しています。

平面図

断面図

大阪湾岸道路西伸部

  • 大阪湾岸道路の一部を構成し、供用中の5号湾岸線の六甲アイランド端末部から、ポートアイランド、和田岬を経由し、駒栄地区で供用中の31号神戸山手線へ接続する14.5kmの路線。
  • 本路線は、六甲アイランドからポートアイランド間、ポートアイランドから和田岬間で、国際航路を跨ぐ形で長大橋を架設する計画です。共同事業者である国と事業を進めています。
  • 現在、当社では神戸山手線との接続部付近において開削トンネルの函体工を、また、六甲アイランド地区では橋梁本体の施工に先立つ地中障害物撤去などの工事を実施しています。
トンネル函体工(駒栄地区)

PICK UP お客さま・地域とのコミュニケーション

工事への理解と建設事業への親しみやすさを促進することを目的として、地域のイベントに参加しています。淀川左岸線延伸部では、共同事業者である国、NEXCO西日本と連携して、近畿地方整備局近畿技術事務所が主催する「ふれあい土木展2021」へ参加し、ジオラマ模型や体験型シールド模型などによる事業PRを行いました。大阪湾岸道路西伸部では、共同事業者である国と連携して、地域イベントの開催時にジオラマ模型やVRなどによる事業PRを行いました。また、現場の仮囲いに設置したデジタルサイネージでは施工ステップ図や工事写真を多く掲示するなど、わかりやすい工事情報の発信にも取り組んでいます。

「ふれあい土木展2021」での事業PR
地域イベントでの事業PR

Interview 「安全・安心なまちづくり」のために、阪神高速が目指すゴール

建設企画部企画課
川合 将斗

都市の道路ネットワークとしては、都心と周辺都市を結ぶ放射路線とそれらを結ぶ環状路線が備わっていることが機能として望まれます。しかし、関西では首都圏や中部圏と比べて環状ネットワークの整備が遅れており、現在、阪神高速で建設を進めている路線は関西の道路ネットワークにとって必要不可欠な重要路線といえます。地域の方々からも新路線開通に対する期待の声をお寄せいただいており、お客さまの利便性向上、関西経済の活性化などのために、ミッシングリンクを1日でも早く解消できるように事業を推進していきます。