阪神高速道路(株)は、開発途上国への技術支援や国際協力活動にも積極的に取り組み、海外に多くの人材を送り出している。2016年12月からケニアに渡り、現地で進む技術協力プロジェクトのチーフアドバイザとして活動する岡本信也もその一人だ。岡本は、入社以来18年、海外業務とは一切縁がなかった。どんなキャリアを積み、何を得たのか、そしてそれはプロジェクトでどう生かされたのか。活動報告で一時帰国したタイミングをとらえ、本人から直接話を聞いた。

3部門で幅広く
知識と経験を学んだ18年。

ケニアに赴任されるまで、海外とは関わりがなかったと聞きました。どのような仕事をされていたのですか?

岡本

当社には、さまざまな部門を経験しながら、幅広い知識と経験を身に付ける「ジョブローテーション制度」があります。その制度のもとで、建設部門、計画部門、管理部門を、それぞれ6年ずつ経験しました。

岡本

3つの部門では、それぞれどんな業務を担当されていたのですか?

岡本

建設部門では主に設計と企画を担当し、計画部門では新規路線の建設にかかる予算の策定や工事計画の立案、関係機関への申請手続きなど、当社の長期構想にも直結する仕事に携わりました。さらに管理部門では、道路の維持管理のための点検、補修設計を主に手がけました。このように道路にまつわる3つの部門で幅広い業務を経験できたことが、後で触れることになると思いますが、結果的にはケニアでのプロジェクトで生かされることになったと思っています。

技術者として心がけてきたことは、何ですか?

岡本

強みとなる専門分野を持つことだと思います。当社は技術を柱とした組織であり、要所で多くの専門家が活躍しています。特に当社が管理する路線の多くは高架橋で、橋梁の専門家やコンクリートのプロ、耐震構造のスペシャリストなどがいます。そんな中で自分自身も技術者として強みを発揮できる専門分野を持ちたいと思い、「橋面舗装*」とよばれる分野に注目し、特に力を入れて勉強しました。他の誰にも負けない知見を持った自分の専門領域を持つことは、技術者として将来のキャリアを考えた時、とても大切なことです。

*橋面舗装
橋梁床版上の舗装で、阪神高速道路の多くでは8cm程度の厚みの舗装を採用している。一般の土工部の舗装と比較して、床板への防水性能や橋梁の伸縮による追従性を考慮する必要がある。

18年間で、いちばん思い出に残っているのは?

岡本

入社以来、建設路線や供用中路線の企画調整、設計や施工管理のほか、将来の交通需要予測など、大小さまざまな仕事に携わりましたが、そのすべてが私にとっては大切な思い出です。私はむかしからサッカーが大好きで、大学でも体育会のサッカー部でボールを追いかけていました。サッカーが好きな理由は、チーム全員で力をあわせて戦い、勝利した時にみんなで喜びや達成感を分かち合えること。当社の仕事も、それとまったく同じです。規模の大小はあっても、社内や関係機関、協力会社から多くの人たちが集まり、それぞれの仕事をこなしながら共通の目標を追いかけ、ゴールにたどり着いた時に全員で達成感を共有できる。しかも、その喜びはひとつではない。その都度違った喜びを味わえる。その点では携わった仕事のどれも忘れることはできない素晴らしい思い出です。

特集 世界で活躍する阪神高速
「ケニアの大地で見つけた新たな可能性」
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