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イメージ 景観に配慮した8号京都線の建築物

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景観に配慮した8号京都線の建築物

建設場所:8号京都線

キーワード景観、8号京都線、換気所

8号京都線に関する建物、トンネル換気所と料金所には、京都の景観に配慮したデザインが施されています。かつて、京都建設部に所属し、これら建物の設計工程に携わった、阪神高速道路株式会社神戸管理部設備保全課長の有村修さんに聞きました。

十条換気所を京都市南部地域のランドマークとして
写真:十条換気所

図:十条換気所・山科換気所

8号京都線は京都市内で初めて計画された都市高速道路ということで、景観を損なわない、京都にふさわしい建築物を作ることが求められました。当時、京都高速道路景観検討委員会を設置し、建築物については、当社員と学識経験者、京都市行政の担当者からなる景観検討委員会京都部会を立ち上げ、何度も審議をしたといういきさつがあります。

建築物というのは2か所の換気所で、そのひとつが伏見区の十条換気所です。すぐ近くに東福寺があるほか、換気所そのものが東山を背景とした景観の焦点となり、新しい景観を創出すべき場所ともいえるところです。ここ京都市南部地域は京セラや任天堂、村田製作所をはじめ、気鋭の企業が集積しつつあり、また高速道路の人口(鴨川東ランプ)も位置することから、十条換気所が京都市南部地域のランドマークの役割をはたすものと考えました。

換気所は換気塔のそびえたつスケールの大きい建物のため、できるだけひっそりと目立たないデザインにする傾向にあります。当初、十条換気所は京都市内に建てるということで、従来のような目立たないデザインも提案されましたが、逆に京都らしさを前面に押し出していこうということになりました。

デザインの基本コンセプトは、京都の再生です。南部地域の新しいまちづくりとして、企業の誘致をして京都の再生をはかるという京都市の方針に基づき、十条換気所はできる限り、斬新で明るいイメージを構成することにしました。また、換気所はボリュームのある建物のため、全体に直線主体のシャープな形にし、分節化することによって圧迫感の軽減に努め、地域の伝統建造物・伏見の酒蔵のイメージを取り入れたデザインをめざしました。

具体的なデザインについて、基壇(下のベース部分)は黒のタイル張りにし、その上部は仕上げ材を変えるなど、2層構造で表現しました。高さ30mの2本の換気塔は、威圧感を減らしすっきり見せるために、あえて2つの換気塔に分けました。

基壇の上部は酒蔵に用いられる漆喰壁をイメージし、換気塔の最上部は日本の歴史的建造物に用いられるいぶし瓦を意識したデザインにしました。白と黒のコントラストが鮮やかで、伝統的な酒蔵に見立てた十条換気所はまったりと地域に溶け込んでいます。

京都らしいデザインの工夫を随所に取り入れました

写真:山科換気所もう1か所の山科換気所は、京都市山科区の風致地区内にあり、周辺地域は低層住宅地(第一種低層住居専用地域)のため、できるだけ目立たない建物が要求されました。背景の山と調和し、歴史的風土に合ったデザインというわけですが、非常に漠然として難しいものです。

実は、京都では明治から大正にかけてレンガ造りの建物が非常に多いのも特徴です。また、この地域は清水焼の産地でもあり、そのような京都らしいレンガ造りを意識し、山科換気所の塔にはレンガタイルを採用しました。焼き物のため、多少の焼きむらはあるものの、それがかえって色に深みが出て、趣を感じさせてくれます。換気塔の中央に縦のスリットを入れたことで、威圧感も軽減できたように思います。換気所の低層部は、柔らかさを意識したむくり屋根にし、上に反ったカーブがやさしさを演出しています。

写真:山科料金所8号京都線には5カ所の料金所があり、換気所と同様に景観に配慮したデザインとしました。とりわけ山科料金所は京都らしさを追及し、屋根部分は軽やかな膜構造(テント張り)で、伝統文化である西陣織をイメージさせる、天女の羽衣のような柔らかさを表現しました。夜間は京都特有の、行灯のようなやさしい光がぼんやりと浮かび、バックの山を背景に、料金所が浮かび上がるような演出効果を狙っています。化粧パネルなどをはずし、料金所の構造体がそのままデザインになるような形状のため、架構の美しさもご覧いただけると思います。

阪神高速道路はこれからも周辺地域と調和のとれた快適で美しい道路景観を創造していきます。

都市景観の構造をめざす さまざまな取り組み

遮音壁へのライン塗装
阪神高速道路は、都市内高速道路という特性から、路線の大部分に遮音壁を設置しています。これら遮音壁には、視線誘導による安全性に加えて、リラックス感に効果的なライン塗装(京都高速道路ではパープル)を施しています。

写真:遮音壁へのライン塗装

ライトファイバー
夜間の景観演出の試みとして、「ライトファイバー」と呼ばれる光ファイバーを一部の区間の中央分離帯に設置しています。淡いブルーの光を放つイルミネーションが道路に沿って浮かび、夜間ドライブを快適にしています。

写真:ライトファイバー

鳥居をイメージした橋脚
油小路線の区間の一部では、歴史・文化都市京都にふさわしく、鳥居をモチーフにした橋脚を建造しています。橋桁は橋脚と調和するような、一体感のあるデザインにしました。

写真:鳥居をイメージした橋脚

出典:阪神ハイウェイ177号