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受賞歴

更新日:2018年04月27日
イメージ 短工期を実現した天井板撤去の取り組み ~神戸長田トンネル~

短工期を実現した天井板撤去の取り組み ~神戸長田トンネル~

受賞年度 2016年
表彰主催団体土木学会 関西支部
受賞者 阪神高速道路株式会社 神戸管理部
鹿島建設株式会社 関西支店

平成28年1月に実施した神戸長田トンネル天井板撤去工事の「短工期を実現した天井板撤去の取り組み~神戸長田トンネル~」が平成28年度土木学会関西支部技術賞部門賞を、鹿島建設株式会社 関西支店と共に受賞しました。 14日間という短期間で約1.6万枚もの天井板を撤去する難工事を、ハンドリングマシンの改良や撤去方法の工夫、また実証実験等を行い綿密な施工計画を立てたことにより、無事完遂したことが高く評価されたためです。

天井板撤去前

この工事では、阪神高速31号神戸山手線・神戸長田トンネルの上下線合わせて約4.4kmの区間で、横流換気方式の換気ダクトを構成する天井板を撤去しました。

神戸長田トンネルの天井板は、これまでに実施した緊急点検やアンカーボルトの引張載荷試験等により、落下に対する安全性に問題がないことを確認していました。
しかし、平成24年に発生した笹子トンネル天井板崩落事故を受け、国より「常時引張力を受ける接着系ボルトで固定された既存の吊り天井板については、可能な限り撤去されたい」と通知されていたことや、最新の知見・技術を踏まえ検討した結果、お客さまに長期的に高速道路を「安全・安心・快適」にご利用いただくため、天井板撤去を実施することになりました。

工事については、通行止めによるお客さまへの交通影響を出来る限り軽減するため、年間を通じて交通量の少ない時期に、また、工事期間を最小限とするため、終日通行止めで実施しました。
全国でもこの規模を14日間という短工期で行った実績はなく、加えて供用中の高速道路で撤去方法の事前検証ができない中で、一発勝負で短工期を確実に実現する天井板撤去方法を確立することが課題でした。

その取り組みとして、現地と同じスケールと仕様の実証実験設備を設置。天井板構成部材の撤去方法の考案と事前検証を実施し、その成果を活かして工期内でスムーズに天井板撤去を完了することが出来ました。

実証実験設備 外観

天井板撤去実証実験設備の活用

神戸長田トンネルは供用中で撤去方法の事前検証ができないので、同じスケールと仕様の天井板モデルを設置、所定の交通規制期間内で撤去が可能な工法の開発と検証を行ったり、配置予定の作業員の訓練施設として活用

天井板撤去
(わずか3分という時間で天井板1枚を撤去)

天井板撤去にハンドリングマシンの採用
― 天井板(押出成型セメント板)の撤去

全旋回式フォークグラップルを装備した0.45m3 級油圧ショベル(ハンドリングマシン)とフォークリフト(2.5t)を使用した撤去方法を採用

ホィールローダによる隔壁撤去

隔壁撤去用拡大ホッパーの考案
― 中央金具に取付けられた隔壁(ALC板)の撤去

高所作業車から治具を使って取り外して自由落下させた隔壁を1.3m3 級ホィールローダのホッパーで受ける方法を採用し、実証実験設備で検証を行って隔壁撤去用拡大ホッパーを考案した

中央金具撤去
(12分に1組の中央金具の撤去が可能)

中央金具撤去用アタッチメントの考案
― 中央金具の撤去

ハイマスト式フォークリフト(2.5t・5.5m)と4.9t吊クローラクレーンを使って一括撤去する方法を採用し、実証実験設備で検証を行ってハイマスト式フォークリフトに取付けて使用する中央金具撤去用アタッチメントを考案した。