Cross Talk-02
働くことも、
育てることも、
みんなで支え進む、
当たり前の未来へ。
リアルな声から見える、
阪神高速での多様な働き方





変化に寄りそい
チームで進み、
支え合う職場
阪神高速では、誰もがいきいきと働ける
職場環境の実現を目指し、
多様な働き方の推進や DE&I(ダイバー
シティ・エクイティ&インクルージョン)
に取り組んでいます。
当社では長年にわたり多くの社員が
産休・育休を取得し、
女性社員の育児休業取得率は100%、
男性社員の育児休業取得率は81%と
高い水準を維持しています。
(2025年3月時点)
今回は、産休・育休を取得した社員、
これから育休取得を考える若手社員、
そしてチームを支える同僚など、
立場の異なる5名に
「育児と仕事の両立」について
語ってもらいました。
制度の活用だけでなく、
日々の工夫やチームの支え合い、
次の世代へ伝えたい思いなど、
多様な働き方の“今”を一緒に考えます。


トークメンバー
Talk Member
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管理部門
入社20年目
管理企画部 保全審査課
M.Sato
入社20年目
時短勤務で9時〜17時が基本ですが、業務が立て込むと少し延びる日もあります。在宅勤務制度も状況に応じて取り入れています。
家族構成:夫、子供2人(小学生:1人、保育園:1人) -

コーポレート部門
入社15年目
経理部 経理課
N.Iwamoto
入社15年目
時短勤務で9時〜16時半が基本ですが、週2日はフルタイムで働くこともあります。
家族構成:夫、子供2人(小学生:1人、保育園:1人) -

コーポレート部門
入社18年目
CS推進・広報部 広報課
H.Hori
入社18年目
フルタイム勤務で9時15分〜17時45分のスライドワーク制度を使っています。学校行事や急な休校のときは在宅制度をうまく組み合わせています。
家族構成:妻、子供2人(小学生:2人) -

管理部門
入社12年目
保全交通部 保全企画課
K.Yakushijin
入社12年目
妻も同じ会社でフルタイム勤務のため、保育園の送り迎えをどう分担するか話し合いながら、スライドワーク制度を活用しています。
家族構成:妻、子供2人(保育園:2人) -

管理部門
入社4年目
大阪保全部 保全管理課
H.Kurohara
入社4年目
フルタイム勤務で在宅勤務はほとんど利用していません。独身です。
※所属部署、部署名称、入社年次は取材当時のものです。
働き方の変化
Changes in Work Styles
Cross talk / Changes in Work Styles
産休・育休・復職を経て、働き方にどんな変化がありましたか。

M.Sato
一番大きい変化は、「残業で何とかする」という選択肢がなくなったことです。以前は忙しい時期は残業することで乗り切っていましたが、子どもがいるとそれができません。復帰直後は上司とペアで進める業務が多かったため、状況をこまめに共有し、自分の進捗が常に見えるよう意識していました。“割り切り”を持ちながら、限られた時間でどう貢献するかを考えるようになりました。

N.Iwamoto
私は復職直後は保育園からのお迎え連絡が続き、思うように働けない日が多くありました。そこで「自分のペースでは進まないこともある」と割り切るようになりました。その上で、業務の優先順位を明確にして濃淡をつけること、“明日急に休んでも大丈夫な状態”で帰ることを意識するように。いつ保育園から呼び出されても慌てないよう整える姿勢が身についたと思います。

H.Hori
私は「時間は有限だ」という意識が強くなりました。仕事に加えて、家庭という重要な要素が増えたので、自然と働き方のバランスが変わってきました。仕事は代わりがいても、親の役割は代わりがいません。自分が何を優先すべきかを明確にするようになり、その判断軸が働き方にも影響していると感じます。

K.Yakushijin
私も時間管理への意識が高くなりました。急に休むとなった場合、ヘルプを頼めるように、直属の上司や部下との情報共有を密に行いながら業務を進めています。自分の担当業務を、誰でも対応できる状態にしておくことが大切だと実感しています。

H.Kurohara
「時間」に対しての意識の変化は、皆さんに共通していることだと思いました。私の上司にも保育園のお迎えのために早めに帰られる方がいて、スケジュールを前倒ししたり、周りと調整されているのをよく見ます。予定が読めないことが多い中でも、チームで支え合いながら進めているのですね。
Cross talk / Changes in Work Styles
復職後に感じたことは?

H.Hori
7か月ほど家にいたので、職場に戻ったとき“社会の一員に帰ってきた”という感じがありました。ちょうど部署異動もあったのですが、過去の経験を生かせる部署だったので、戸惑いは大きくなかったです。家族との時間は短くなりましたが、「おかえり」と言ってもらえる良さを改めて実感し、 “密度が濃くなる”感覚が良かったです。

M.Sato
子どもを残して仕事にいくことに「後ろめたさ」がありました。特に、子どもが病気のときに夫にお願いすることもあって、離れる時に「母親なのに」と辛く思う気持ちがありました。でも、いざ仕事が始まると自然と頭が切り替わるんですよね。離れているぶん、帰って顔を見た瞬間に“倍かわいい”と思える時もあって(笑)。あの感覚には救われました。

N.Iwamoto
その気持ち、すごく分かります。私も復職前は不安が大きかったのですが、実際には“良い意味での切り替え”ができるようになった気がします。育児中に急に仕事のアイデアが浮かんだり、その逆もあったりして。どちらか片方だけでは気づけなかった発想が増えました。「相乗効果ってあるんだな」と思えました。

K.Yakushijin
育休以前のようには働けないだろうし、生活リズムも変わるので「生活をうまく回せるかな……」とずっと不安でした。でも今は、家のことも仕事も“手を抜きながら整える”コツみたいなものが少しずつつかめてきました。完璧を目指さず、必要なところに力を集中する感じです。

H.Kurohara
みなさん、「前と同じように働けるのか」という不安が本当に大きいのですね。だからこそ、復職した人が無理なく働けるように、周りがフォローできる体制や環境を整えていくことが大事なのだと思います。
育児中の転機
Turning Points in Childcare
Cross talk / Turning Points in Childcare
育児期間中のターニングポイントや壁の乗り超え方を教えてください。

M.Sato
私の場合は、 “小1の壁”が大きかったです。保育園の頃は2人の子どもを1か所に迎えに行けばよかったのが、小学校が始まった途端、預け先が2か所に増えて。学童の仕組みに慣れるまで時間もかかりました。ちょうど転居も重なり、下の子の保育園はバス通園ができる園に変えて、祖母にも協力してもらいながら乗り切りました。

N.Iwamoto
今年、娘が小1になりましたが、入学直後は特に小1の壁は感じませんでした。ただ、夏休みに入った初日に「学童に行きたくない」と言われてしまって。人の多さが嫌だったようです。そこで、学童以外の過ごし方として実家や妹の家、私の在宅勤務など使える選択肢をすべて出し、娘と一緒に“1週間の過ごし方”を組み立てました。送迎の際はスライドワーク(時差出勤)を利用しつつ、家族みんなで調整しながら乗り切れたのが、この夏一番の“壁”だったと思います。

H.Hori
私の場合、上の子のときに「保育園に入れなかった」ことが大きな出来事でした。妻だけが育休中で、夫婦そろってフルタイム復帰の予定だったため、「どちらが仕事を休むか、どちらかが辞めないといけないのか」という現実に直面しました。そこで“妻に任せきりだったかもしれない”と気づかされ、その経験もあって第2子では育休を必ず取ろうと思いました。振り返ると、働き方の意識が変わる大きなきっかけでした。第2子の育児休業取得時は、子どもの世話をしながら、保活にも取り組み、慌てないように対策をしました。

K.Yakushijin
うちはまだ保育園なので、“小1の壁”はこれからかな……という気持ちで聞いています。転機は、第2子の育休後に“夫婦の復職タイミングがずれたこと”でした。私が先に復職した際は、妻が育休期間中だったので、急な残業が生じた場合も対応することが出来たのですが、妻がフルタイムに戻ってからはそうはいきません。お互いフルタイムで働くからこそ、より計画的に動かないと回らない。その気づきが大きな転機だったと思います。

H.Kurohara
佐藤さん、育休を2回取得されていますが、1回目と2回目で違いを感じた部分はありましたか?

M.Sato
1回目の方が断然大変でした。保活が大変で預けられる保育園がなく、2歳児の2次募集でようやく入れたという状況でした。第2子のときは、住んでいる地域に“きょうだい加点”制度もあって比較的スムーズだったんです。ただ、下の子をかわいがり過ぎて上の子がやきもちを焼いて、保育園に行きたがらない時期がありました。そこで下の子を実家に預け、上の子と“ふたりだけの時間”を意識的につくるようにして、少しずつ落ち着いていきました。家庭の状況が変わる中で、子どもそれぞれに合った関わり方を考える良いきっかけになったと思います。
産休・育休制度を使ってみて
Using Maternity & Parental Leave
Cross talk / Using Maternity & Parental Leave
制度で「助かったこと」「難しさ」を感じた場面はありますか?

M.Sato
看護休暇が時間単位で使え、本当に助かりました。保育園で年長になるとお昼寝がなくなってしまい生活リズムが変わって朝まったく起きられない時期があり、あの頃は、保育園への送りが難しい日が続いたので、時間単位の看護休暇に何度も救われました。

N.Iwamoto
私は、朝になって急に病院に連れて行かないといけない時など、そのままスライドワークに移行できたら助かるのですが、スライドワークは基本、事前申請が必要なので、急遽勤務時間を変更することができない場合は、時間単位の休暇を取ることもできます。

H.Hori
私もスライドワークや看護休暇をよく使っています。特に小学校に入ると、夏休みなど学校が休みの期間中、朝から学童に行ってもらうのですが、学童の開始時間は、普段、小学校に登校している時間に比べ遅くなります。この調整にスライドワークは本当にありがたい制度です。看護休暇も、小3まで使えるようになったのは大きいですね。病院の付き添いなどにはとても助かっています。また、現場に出ることが多い部署や対面での調整が欠かせない部署で在宅勤務を行うときには、周りとしっかり調整するという声も聞いています。

K.Yakushijin
私は業務内容的にほかの部署の方とのやり取りが多く、在宅勤務がしづらかったのですが、最近、会社から個人スマホが配布されて、連絡手段が一気に便利になりました。「スマホでスムーズに連絡が取れる」だけで、在宅勤務のハードルがすごく下がるのだなと実感しています。これからはより一層使いやすくなりそうだなと思っています。
Cross talk / Using Maternity & Parental Leave
男性の育休・育児参加への職場の理解は広がっていますか?

H.Kurohara
周りを見ていても、男性だからといって育休取得が珍しいという雰囲気は全くありません。実際、育休を取る男性社員も何人もいますし、「子どもの行事があるので休みます」という声もよく聞きます。性別に関係なく、ごく自然に休暇が取られていると感じますね。

K.Yakushijin
私も同じ印象です。むしろ最近は、「育休を取らない男性を探す方が難しいんじゃないか」と思うくらいで(笑)。いい意味で、“珍しさゼロ”になりましたよね。

N.Iwamoto
確実に増えていますよね。社内の育休関連の申請手続き案内を見ると、結婚・出産・育児の手続きページが「女性向け」と「男性向け」に分かれていました。それを見て、会社としても男性の育児参加をしっかりサポートしているのだなと実感しました。

H.Hori
私は7年前に育休を取りましたが、当時はまだ男性の育休が“これから広がっていく時期”で、その年度に1人いるかどうか、という段階でした。それが今では、取得率が80%~100%といわれるほどに変化しています。この数年で、会社全体の価値観が前向きにアップデートされてきたと感じます。

M.Sato
私の周りでも男性の育休取得者は増えていて、経験を共有してくれる方も多いです。「授乳以外は全部担当しました」「夜間のミルクは自分がやってます」「離乳食づくり、こう工夫しました」など、すごくリアルな話をしてくれます。その声が次の世代の男性社員にも広がって、良い循環が生まれているなと感じます。
育休・復職を迎えるみなさんへ
Messages for New and Returning Parents
Cross talk / Messages for New and Returning Parents
これから育休・復職を迎える方へ伝えたいことは?

M.Sato
育児と仕事の両立では、「迷惑をかけているのでは」と不安になる瞬間があると思います。私も迷いや焦りを抱えながら続けてきたので、その気持ちはよく分かります。実体験も踏まえつつ、「大丈夫。失敗もあるし、みんな助け合いながらやってきたよ」と、肩の力が抜ける言葉を届けたいと思っていますし、実際に気持ちが上向きになるように声かけしています。自分語りになりすぎないよう気を配りつつ、必要な場面で「そんなに深刻に受け止めなくていいよ」と伝えられたらいいですね。

N.Iwamoto
「育休は、めいっぱい楽しんでほしい」というのが一番です。育休は大変なこともありますが、それ以上にかけがえのない時間だと思うので。復帰については、今は“おかえり面談”などサポートも整ってきていますし、子どもも復帰後しばらくは体調を崩しやすかったりと、予定通りにいかないこともあると思いますが、だからこそ、“なるようになる精神”で。気負いすぎず、ゆっくり戻ってきてもらえたらいいのかなと思います。

H.Hori
子育て中の人と働く中で実感しているのは、「経験があっても、相手の状況や価値観は人それぞれ」ということです。制度や働き方、家族の形も常に変化しています。だからこそ、過去のやり方にとらわれず、まずは“相手の気持ちや状況を聞く”ことを大切にしたいと思っています。育休は数ヶ月〜1年でも、その後の育児はもっと続きます。復帰後も家族の状況は少しずつ変わるので、ときどき立ち止まり、パートナーや周囲と対話を続けてもらえたらと思います。

K.Yakushijin
会社としても社会としても、男性の育休取得はどんどん広がっている流れにありますよね。生まれたばかりの子どもは日々成長しますし、その瞬間を近くで見られるのはすごく貴重です。「職場に迷惑をかけるかも……」という不安もあると思いますが、会社も周囲もちゃんとフォローしてくれます。悩む時こそ、ぜひ前向きに一歩踏み出してほしいです。それがもっと“当たり前”になる世の中になればいいなと思います。

H.Kurohara
私は独身ですが、これまで先輩の産休・育休を見てきて感じるのは、「安心して休める環境」と「復帰後も不安なく働ける体制」が大事だということです。育休中は仕事を気にせず育児に集中できること、そして復帰される方が「戻りにくい」と思わない空気を職場がつくること。実際、先輩方が自然にフォローし合う姿を見ると、会社にも人にも支え合う土壌があると感じます。これから育休を取る方も、どうか安心してその時間を大切にしてほしいと思います。
自分らしく働く
Work Style and Culture
Cross talk / Turning Points in Childcare
働き方の柔軟さが進む中で、会社の雰囲気にどんな変化を感じますか?

M.Sato
独身、出産・育児、そしてこれからの介護と、働き方もその時の気持ちも変わっていきます。その変化に合わせた制度も整い、利用する人も増えていて、とても心強いと感じます。私も母の介護で制度を使ったときより今のほうがずっと使いやすくなっていて、会社が「いろんな働き方を応援しようとしている」と実感しました。“自分らしく働く”という意味では、入社当初から土木の仕事で“世の中の役に立つ仕事がしたい”という軸は変わりません。働き方は変わっても自分らしさを保ちながら、社会の根底を支えることができているのは、周りの人に支えてもらって続けられているし、実現していると思います。

N.Iwamoto
いろいろな働き方の人が同じチームに自然に混ざって働いている、という今の状況自体が、DE&Iの姿に近いのかなと思っています。“自分らしく働く”という意味では、私は「こうじゃなきゃだめ」をつくらないこと、柔軟であること。これをすごく大事にしています。育児も仕事も、決めつけず、臨機応変にやっていく。一緒に働く周りの人の価値観も認めあいながら働く。そういうことが、私の思う“自分らしさ”に繋がっている気がします。

H.Hori
DE&Iという言葉を社内でよく目にするようになり、制度も取り組みも広がってきました。でも、制度があっても“使いにくい空気”があると意味がないので、助け合いの文化で、安心して意見を言いやすい雰囲気が大切だと感じています。DE&Iは誰にも関わるテーマですので、「自分ごと」として受け止められ、文化として根づく環境があるのはいいことだと思います。自分らしく働けるように、仕事、キャリアを考えながら、パートナー・子ども・自分の時間のバランスを取り、限られた時間、キャパシティの中で全部の方向で無理をし過ぎないよう努めています。今は正直“なんとか回している”感じですが(笑)、それも含めて自分らしくやれているのかなと思います。

K.Yakushijin
DE&Iというと難しく聞こえますが、実はすごくシンプルで、「誰もがいきいき働けるようにすること」だと思っています。働きやすさを広げる一方で、誰かに負担が偏らないように、業務の効率化とも一緒に進んでいくといいですよね。“自分らしく働く”という意味では、仕事も家庭もどちらも大切にしたいという思いがあります。今は周りのサポートがあるからこそ両立できているので、これからは自分もサポートする側に回って還元できたらと思っています。

H.Kurohara
お話を聞いて、様々な働き方がある中で、育児と仕事の両立は、周りの支えや理解があってこそ成り立つものだと改めて感じました。私はまだ経験はありませんが、先輩方が自然にフォローし合う姿を見たり話を伺うと、一人で頑張ろうとしなくても、安心して自分らしく働けて、いつか育児休業を取得した時に仕事と育児の両立に挑める環境があるのだと思いました。これからも“助け合いながら働く”という雰囲気をみんなで大切にしていきたいですね。

