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阪神高速 ショートストーリー

第24話 未来の道路交通に挑む情報システム(2)

夢の自動運転プロジェクトに参画

 現在、カーナビにはGPS位置情報が入っていて、新しく開発された車には前後左右にセンサーが付けられている。自動ブレーキの搭載など車本体に夢の自動運転に向けた最先端技術の成果が次々に盛り込まれている状況だ。自分の車が今、どこを走っているのか、車の前後の状況はどうなっているのか、そんなことはすぐに分かるようになっている。しかし、数キロ先のカーブがどういう状況なのか、その道路構造や状況までは分からない。本当に、夢の自動運転を実現するには、そういった情報も必要になる。
 そこで、道路事業者が持っている詳細な情報を地図と連携させて、自動車メーカーに提供すればいい、と考えられたのが国土交通省・国土技術総合研究所が主導するプロジェクトである。
 どんな電子地図を用意すれば、夢の自動運転に近付くのか。自動車メーカー、地図関連会社・団体などと共に、阪神高速も参画して共同研究を行っているところである。
 研究テーマは、「走行支援サービスに必要な大縮尺道路地図の整備・更新手法の研究」。活動期間は、平成25・26年度の2ヵ年間。自動運転を可能にする電子地図の仕様案の立案、地図の加工法・更新方法などを研究し、実際に地図を試作する。順調にいけば、今年度中には車に搭載して、走行実験を行う予定である。
 このプロジェクトは日本初の試みであり、道路事業者として参画したのは阪神高速が最初である。
 道路基盤地図情報の持つ道路構造データをカーナビ等にあらかじめ組み込み、道路状況や運転状況に応じた注意喚起等の安全走行支援を行うというもので(*文末イラスト参照)、夢の実現に向けて阪神高速は今、チャレンジを続けている。

大縮尺道路地図の道路構造データを活用した安全運転支援(走行支援)のイメージ

情報収集におけるプローブ情報の活用

 情報の提供と活用面で起きている大きな変化と同じように、情報収集の分野でも、革新的な変化が見え始めている。「プローブ情報」である。
 プローブ情報とは、ITSスポット対応カーナビに記録された、走行位置の履歴等の情報のことで、ITSスポットでは、車に情報を提供するだけでなく、その車がどこを通ってきたかといった情報をカーナビから収集している。(注:このプローブ情報から車両または個人を特定することはできない。また、走行開始地点や走行終了地点などの個人情報にかかわる情報は収集されない)
 収集するプローブ情報には、基本情報(カーナビ・車両の情報など)、次に、走行履歴(車がいまどこにいるか、どこを通ってきたのかなど)、そして、挙動履歴(急激な車両の動きなど)がある。
 道路管理者は、走行位置の履歴を統計的に処理することで、区間の走行所要時間や渋滞の影響を高い精度で把握することができる。また、それをドライバーに情報提供することができる。急な車両の動きをデータ処理すれば、道路上の障害物の検知や、走行に注意が必要な箇所を把握し、その情報を提供することができる。
 道路交通情報の活用については、自動車メーカーやカーナビメーカー、情報配信業者など民間企業が活躍している。阪神高速も、より広く一般の民間企業と連携の輪を広げて、こうした大きな可能性を秘めた分野に力を注いでいきたいと考えている。

(2014.9.5掲載)

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