大阪市内のベイエリア・港区と南港を結ぶ真っ赤なボディの港大橋。

全長980mのトラス橋です。中央径間510mは世界第3位、日本ではなんと第1位の長さです。完成したのは1974年。それから40年、大阪港のランドマークとして変わらぬ存在感を見せています。
大阪港で最も船舶航行量の多い航路をまたぐために、中央径間510m、桁下空間51mという阪神高速(当時は公団)初の長大橋梁となりました。架設箇所が埋立地特有の軟弱地盤で基礎工は非常に大規模でした。建設にあたっては設計・施工面で従来にない新しい手法や材料、工法が多数採用されました。

港大橋はどうして赤い?

当初、橋は数種の色が検討されていましたが、航空法の基準では、海面から60mの高さを超える鉄塔や煙突などの構造物は、飛行機などがぶつからないよう、赤と白に塗装する決まりでした。港大橋は、大型の国際船も橋の下を通過する巨大な橋で高さが81.5mあったため、基準では赤と白に塗装しなくてはいけません。
しかし、大阪港の玄関口にかかる港大橋が、煙突や鉄塔と同じ赤と白のまだら模様では、景観が台なしです。そこで、航空局と協議を重ね、「赤1色の港大橋」が誕生したのです。

トラス橋として、
日本で第1位、
世界で第3位の支間長

浪速の名橋50選に選定

※大阪市に架かる全橋梁を対象に社団法人 土木学会関西支部 が名橋として選定

道路部がスライド 港大橋の斬新な地震対策

港大橋では「すべり免震支承」を採用しています。地震時に道路部がスライドして橋の骨格となるトラス部材に損傷が生じないようにする仕組みです。この技術は、絶縁することによって、壊れてはいけないものに地震のエネルギーが伝わらないようにするという「免震技術」です。
主要部材を補助する部材には「座屈拘束ブレース」を採用しました。「座屈拘束ブレース」は圧縮に弱い鉄を座屈(両端から強い圧縮力を受けてひしゃげるように破壊すること)から防ぎ、地震エネルギーを吸収する仕組みになっています。主構に損傷が生じないようにする「制震技術」です。
この地震対策の斬新さが評価され、2007年に2度目の土木学会田中賞を受賞しました。

基本情報

路線
  • 阪神高速16号
    大阪港線(上路)
  • 阪神高速4号
    湾岸線(下路)
着工
1970年
開通
1974年7月15日
形式
3径間ゲルバートトラス橋
基礎形式
ニューマチックケーソン
全長
980m
支間割り
235+510+235m
幅員
19.3m
桁下高
51m
鋼重
41,000t
工費
250億円

受賞歴

1974年
土木学会 田中賞
1974年
土木学会 技術賞
1974年
建設大臣表彰
1974年
天皇賜杯(銀杯)
1974年
大阪市長感謝状
1984年
照明学会 照明普及賞
2007年
土木学会 田中賞
2008年
日本鋼構造協会 協会賞

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