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阪神高速 ショートストーリー

第29話 安全・安心の確保へ―大規模更新・大規模修繕(1)

大阪初の都市高速道路が誕生したのは50年前

阪神高速道路の役割
(道路延長、貨物輸送量)

 昭和39(1964)年6月28日、阪神高速道路土佐堀~湊町間2.3㎞が開通した。大阪初の都市高速道路だった。以来、昭和42(1967)年に1号環状線の全区間11.2㎞が開通。その後、昭和45(1970)年の万国博覧会に合わせて7路線、総延長74.1kmを完成。昭和55(1980)年には、道路延長は100㎞を超える。さらに、湾岸線の延伸、北神戸線、神戸山手線、京都線などネットワークを拡大して、営業総延長は259.1kmに達している。

計画的な補修が必要な損傷箇所が累積

阪神高速道路の経過年数

 阪神高速道路が現在、果たしている役割は大きい。例えば、道路延長は阪神都市圏全体の道路延長3,700㎞からすれば、わずか6%程度にすぎないが、自動車貨物輸送量を見れば、阪神都市圏全体の約50%を阪神高速道路が担っているのである。
しかし、平成25(2013)年3月末時点で、道路延長254.8kmのうち、建設後すでに40年以上を経過している構造物が約32%(約81km)、30年以上経過したものが約52%(132km)と、日常の維持管理とは別に計画的な補修が必要な箇所が年々、累積しているのが現実である。
 平成24(2012)年12月に発生した笹子トンネル天井板落下事故は、日本の高度経済成長を支えてきた社会インフラが、確実に老朽化している現状を突き付けた。阪神高速道路の場合、都市高速道路という特性上、構造物の中でも橋梁やトンネルの割合が92%もあるのだが、これは首都高速道路よりも比率が高く、それだけ管理内容が多岐にわたるということで、日常の維持管理も難度は高い。
 大型車両の交通量が多いのも、阪神高速道路の特色である。大阪府内一般道路の約6倍、全国一般道の約13倍もあり、それだけ道路の使用環境が過酷ということが言える。道路の損傷状況は、計画的な補修を必要とする損傷(Aランク損傷)が年々累積されており、平成23(2011)年時点で約38,000件にも上っている。

(*)Aランク損傷とは、機能の低下があり対策の必要がある損傷を言う。緊急を要する損傷はSランクと判定しており、その場合はすぐに補修を行っている。

大規模更新・修繕が必要な箇所は約36㎞に

Aランク損傷の推移

 平成24(2012)年度に、学識経験者で構成する「阪神高速道路の長期維持管理及び更新に関する技術検討等委員会」を設置し、構造物の更新の必要性や長期的な視点での維持管理のあり方について検討。平成25(2013)年4月に発表された提言のおもな内容は、次のとおりであった。
 まず、道路の損傷状況については、供用後おおむね40年頃からkmあたりの損傷数が大きく増加する傾向がみられること。したがって、供用後おおむね40年以上を経過した区間(約92km)を大規模修繕、大規模更新の検討対象区間として設定し検討した結果、①大規模更新が必要な区間は約12km、大規模修繕の実施区間は約24km、②大規模修繕、大規模更新に要する概算費用は約4,800億円、それ以外の区間で当面の補強等対応に必要な費用が約1,400億円、合計費用は総額6,200憶円に上る。そして、③大規模修繕、大規模補修の実施にあたっての課題として、点検の強化や技術開発はもちろん、実施にあたっては迂回路、代替路の確保等も必要で、その社会的影響は大きいことから、実施時期は詳細に検討し慎重に判断すべき、とした。

(2014.10.10掲載)

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