阪神高速として初めての大規模交通規制によるリニューアル工事阪神高速として初めての大規模交通規制によるリニューアル工事

日本で初めて実施した高速道路を営業させたままの
橋桁の梁リニューアルについて
担当者へインタビューしました。

-16号大阪港線で実施したコンクリート橋脚の再構築はどのような工事でしょうか?

若槻
阪神高速道路では、利便性向上等を目的に 、西船場ジャンクションの改築事業として、1号環状線と16号大阪港線とを直結するための渡り線の整備を進めており、将来は環状線の半周迂回が不要となります。併せて、スムーズに車線変更ができるように車線を増やす工事も実施しています。

道路の経過年数比率 / 交通量・大型車の平均断面交通量

道路の経過年数比率 / 交通量・大型車の平均断面交通量

▲ 西船場ジャンクション改築事業の概要

車線を増やすために既設のコンクリート橋脚の梁を拡幅しますが、その一部にASR※損傷によるひび割れが数多く確認されました。損傷個所は維持補修を実施しているため、現状の走行には問題ありませんが、今回、付加車線の設置に伴い新たな荷重が作用します。今後50年、100年と高速道路を安全・安心・快適な状態で使用し、次の世代に引き継いでいくためにも、特に損傷が著しい4橋脚を対象に梁部分を撤去・再構築するリニューアル工事を行うこととしました。

▲ ASRによる損傷状況

※ASR(アルカリシリカ反応)

セメント中のアルカリ金属が骨材中のアルカリ反応性鉱物と化学反応を起こし、膨張性の高いゲル状の物質が生成される現象。このゲルが水分を吸って膨張し、コンクリートにひび割れなどの劣化を引き起こす。

-橋を支えている箇所を取り替えるということは、高速道路を通行止めして工事を実施したということですか?

若槻
今回リニューアル工事を実施する橋脚がある16号大阪港線は、1日あたり5万台のお客さまにご利用いただいております。通常であれば通行止めによる工事が考えられますが、多大な交通影響が予想されます。お客さまへの影響を最小限にする必要があり、高速道路を営業させたまま安全に工事を行う方法を検討しました。
車が通行している橋桁を支えている橋脚の梁を取り替えるため、新たに橋桁を支える仮設の橋脚(仮受橋脚)を設置する必要があります。仮受橋脚をリニューアルする既設橋脚の両側に設置し、高速道路(橋桁)を支えることで、既設橋脚に橋桁の重量がかからない状態にして、橋脚梁の取替工事を行いました。
  • ▲ 撤去・再構築の概要
  • ▲ 梁撤去完了

-高速道路の交通を確保した状態で橋桁を仮設の構造で支えるというのはすごいですね。

若槻
高速道路を営業させたまま橋脚の梁をリニューアルしたのは、阪神高速道路の今回の工事が日本ではじめてになります。工事の実施にあたっては、細心の注意を払う必要がありました。通常は、ベントと呼ばれる鋼材を地上に組んで桁を支える工法を採用します。しかしながら、本工事では、長期間に渡り営業中の高速道路を支える必要がありました。
そのため、想定しうる範囲内で最大規模の地震(レベル2地震動)が発生しても橋桁が落下することがないように、既設の橋脚と同じ深さまで杭を打ち込んだ、本設橋脚並みの仮受橋脚を設置し、安全を確保しました。費用を掛ければより安全なものが出来ますが、あくまで仮設の橋脚であることから、安全性の確保と経済性への配慮について議論を重ね、今回、最適な施工ができたと思います。

▲  仮受橋脚の施工状況  ▶

-本工事で特に工夫したことはありますか?

若槻
新しく高速道路を建設する場合は、橋脚を構築した後に桁を架けます。しかしながら今回は、高速道路建設後の橋脚のリニューアル工事ということで、上空に桁があるという制限下で橋脚を撤去・再構築する必要がありました。そのため、仮受橋脚の設置時も、上空に高速道路がない位置で組み立てたあと、桁下に引き込むという工法を採用しました。また、撤去した梁は上空に高速道路があることから、そのまま吊り降ろすことができません。自走式荷受けジャッキという機械を導入し、切断した梁部材をジャッキで桁下外に移動させてからクレーンで吊り降ろしました。切断した梁部材の最大重量は36.8tと非常に重いことから、作業にあたっては安全にも十分配慮しました。
また、工事現場が都市内に位置していることからも、周辺住居等への騒音や振動を最小限にするために、大きな音や粉じんが発生しないワイヤーソーを用いて、梁を切断し、環境への配慮に努めました。
  • ▲ 自走式荷受けジャッキによる切断梁の移動
  • ▲ 梁取り替え完了

-では、最後にメッセージをお願いします。

大規模更新・修繕事業

若槻
上空の制限を受けるなど厳しい現場条件で、高速道路を営業させたまま梁をリニューアルするという前例のないプロジェクトでしたが、それだけにやりがいのあるものでした。
さまざまな創意工夫によって無事に完了させたことは、私にとっても貴重な経験となりました。
阪神高速道路は、今後もさまざまなリニューアル工事を予定しています。お客さまへの影響を最小限にすることを念頭に置き、工夫しながら工事を進めてまいります。
高速道路リニューアルプロジェクトにご理解・ご協力をお願いいたします。 高速道路リニューアルプロジェクトにご理解・ご協力をお願いいたします。

※本文に記載の内容はインタビュー当日のものです。