平成24年5月2日
阪神高速道路株式会社
平成23年9月29日に発生しました淀川左岸線正蓮寺川西工区(北港新橋付近)における土留め壁の崩壊事故につきまして、周辺住民の方々や河川管理者等関係機関の多くの方々にご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
事故現場の復旧が進むとともに、事故調査技術委員会については審議結果が取りまとめられましたのでご報告致します。
1.事故現場の復旧状況について
事故により仮水路から工事現場に多量の水が流入しましたが、水質の監視ならびに現場の安全管理を強化しながら河川への排水を行い、4月6日に作業が完了しました。
事故により損壊した土留壁等の復旧も進み、トンネルの建設についてはすべての区間で工事を再開しております。
2.淀川左岸線事故調査技術委員会について
事故原因の調査および復旧方針等の検討を目的として、事故調査技術委員会(委員長:足立紀尚 京都大学名誉教授)を組織し審議を進めて参りました。
委員長 足立紀尚 京都大学名誉教授
委 員 常田賢一 大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻教授
委 員 木村 亮 京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻教授
委員会経緯
第1回委員会 平成23年10月 1日、5日、6日
第2回委員会 平成23年10月17日
第3回委員会 平成23年11月28日
第4回委員会 平成24年 1月16日
第5回委員会 平成24年 4月 3日
第5回委員会において、「事故原因に関する調査」、「崩壊メカニズムと原因推定」、および「復旧方針と掘削未了区間の再検討と施工」に関するこれまでの審議結果が取りまとめられましたので、結論の部分を掲載致します。
3.今後の予定
当該箇所は河川を陸地化した地盤にトンネルを建設している現場で、ヘドロや厚い沖積粘性土等が分布しています。
事故後に原因究明のための地盤等の詳細な調査や、解析による検討が進められた結果、今回の土留め崩壊の主原因は、設計時と事故後に実施した調査の地盤定数の違いを起因とした 「ヒービングを伴う掘削底面の受働破壊」である可能性が最も高いと考えられています。
そこで、新たに設定した地盤定数に基づいて復旧設計を行い、施工時の状況をより詳細に把握できるよう計測機器を増設するなど施工管理体制を強化し、これまでの委員会審議結果に基づいて再発防止に努め、安全を最優先に作業を進めております。
引き続き工事現場における安全確保に努めるとともに周辺環境にも十分配慮して、平成25年春の供用を目指して工事を進めて参ります。
今後とも、皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。