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イメージ 斜張橋の耐風安定性が格段に向上!天保山大橋や東神戸大橋に隠された技術
橋梁 | 鋼橋

斜張橋の耐風安定性が格段に向上!天保山大橋や東神戸大橋に隠された技術

建設場所
5号湾岸線、4号湾岸線、11号池田線
キーワード
天保山大橋、東神戸大橋、大和川橋梁、新猪名川大橋、斜張橋

斜張橋とは、主塔から斜めに張り渡した多数のケーブルにより主桁を吊っている橋であり、効果的に桁の部材重量を軽減できることから、経済的でスレンダーな構造物を作ることができる特徴を持っています。一方、橋桁が比較的軽量となることから、風の影響を受けやすい構造です。

天保山大橋は、桁下クリアランスが50mと高く、また、広幅員のため風に対する安定性には多くの課題がありました。このため、主桁の両側にフェアリングを取り付け偏平六角形の箱桁にするとともに、その外側にスプリッターを取り付けて、風に対しての安定性を高めています。

写真-1:天保山大橋

写真-1:天保山大橋

図-1:天保山大橋の主桁断面

図-1:天保山大橋の主桁断面

東神戸大橋は桁下クリアランスが高いですが、道路断面が上下2層のダブルデッキトラスであるため、それほど問題になりません。しかし、架設時において塔は揺れやすい独立柱の状態となるため、塔頂に制振装置を設けています。

また、大きな張力が働くケーブルに雨混じりの風が吹くと、いわゆるレインバイブレーションと呼ばれるケーブルの共振現象が起きることがあります。

天保山大橋では、ケーブルの低次振動モードを極力抑制するため、桁のフェアリング内にダンパーを設置し、ケーブルと結んでいます。

東神戸大橋では、ケーブルの表面に12本の平行突起を設け、空気力学的にケーブルの振動を抑制するように工夫しています。

写真-2:東神戸大橋

写真-2:東神戸大橋

写真-3:東神戸大橋のケーブル

写真-3:東神戸大橋のケーブル