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昭和39年に1号環状線の一部である湊町~土佐堀間が開通してから半世紀余、営業延長259.1km(2016年2月時点)に達した阪神高速。その多くは高度経済成長期に建設されており、高齢化・老朽化が進んでいる。増え続ける交通量や車両の大型化もそれに拍車をかける。また構造物の損傷は広範囲に及んでおり、その内容も多種多様だ。もちろん継続的に対処はしているが、供用しながらの補修には限界がある。

そこで阪神高速が独自の方法として実施しているのが、「終日通行止め」によるフレッシュアップ工事である。一定の区間を一定期間通行止めにして、数多くの工事を一気に集中して行うこの方法は、お客様にとって一見不便なようだが、交通に及ぼす影響を最小限に抑える理に適った方法だという。保全管理課の宮本実信と西海能史、保全工事課の黒田孝志と岡上政史の4人に話を聞いた。

メリットが多い通行止め工事

終日通行止めによる集中工事の方が、
交通影響が少ないと言うお話ですが…?
宮本

はい。多くの車線規制が必要となる補修工事では大きな音が出てしまうため、沿道への影響を考えると夜間に行うことが出来ません。また車線規制による道路渋滞への影響が大きくなるため、平日昼間に行うこともできません。したがって、これらの工事は交通量の比較的少ない休日の昼間に実施せざるをえず、通算すると数年単位の期間が必要となります。

これを短期間に集約して行おうというのが、阪神高速独自のフレッシュアップ工事です。

たとえば2015年秋の5号湾岸線では約2年半分の工事量を11日間に、2014年の12号守口線では約4年分を8日間に短縮することができました。

宮本 実信
西海

フレッシュアップ工事では、渋滞による影響も通常の車線規制工事に比べ少ないことがわかっています。宮本の話にも出た5号湾岸線では、渋滞量を約 1/28に縮減、工事渋滞によるお客様の遅れ時間は、のべ約 109 万時間短縮されるという試算のもと取り組みました。お客様の時間損失を金額に換算すると、約32億円の縮減効果が見込まれることになります。

通行止め工事による効果(阪神高速5号湾岸線)
通行止め工事による効果(阪神高速5号湾岸線)
  • ※1:渋滞量とは、渋滞のボリュームを表す値で渋滞長×渋滞時間で示され、本表の阪神高速渋滞量は平常日
    (事故等による通行止めなどの特異な事象がない日)と工事日の渋滞量の総和を差し引いた値
  • ※2:平常日と工事日の一般道路を含めた総走行台時間の差
    (通行止め区間に該当する安治川・淀川断面交通量を対象に算出)
  • ※3:渋滞による遅れの損失を金額で表したもの
それにしても一定期間通行止めにするのは大変では?
宮本

その通り。至難のわざです(笑)。連休や祝日は極力避けますし、「大阪マラソン」などのイベントや選挙などともかぶってはいけません。またNEXCOなど他の道路管理社が通行止めを行う場合は、それも避けなくてはなりません。あと、出来るだけ降雨量の少ない時期を選ぶというのも大切な要素です。針の穴を縫うようにして日程を決めていると言っても大げさではないと思います。

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